研究実績の概要 |
本研究は、新型コロナウィルスが流行する前の内容であるため、研究方針の転換が必要となった。 初年度の研究では、MICEに関するリスクマネジメントの認識度合い等の研究を行った。感染症への意識が極めて高く、参加者の心理的な側面からも回復が時間を要する結果となった(岩本, 2020; 岩本・原・松尾, 2020)。次年度の研究では、新型コロナウィルスの影響が続いているため、多くの国際会議は、オンラインでの実施となった。コロナ禍における国際会議の参加者のニーズに関する分析を行った。新型コロナウィルスの影響でオンラインやハイブリッド型会議への移行が進んだため、現地参加者とのニーズの差を明らかにした(岩本・松尾・杉山, 2021)。オンライン上では時差の関係から積極的な交流促進を起こすことは難しく、実際の国際会議内の交流の難しさも明らかとなった。3年目となる研究では、ハイブリッド型の国際会議が主流となっていることから、現地参加、そして主催地への経済波及効果を高める諸要素として、参加者が期待する観光資源に関する調査を実施した(岩本・松尾, 2022)。国外からの参加者の方が、日本人参加者よりあらゆる観光資源に対する期待が高いことが明らかとなった。4年目となる研究では、ハイブリッド型の国際会議において徐々に現地参加者も増えていった。しかし、国外からの参加者は、限定的であった。現地参加を促すためには、国際会議開催のみに焦点を置くのではなく、主催地全体のホスピタリティマインドを醸成し、他の観光形態と同様にリピーターを引き起こすことも明らかとなった(岩本, 2023)。 このように新型コロナウィルスの影響で、研究の方向性を変更せざるを得なかったが、この4年間の研究成果は、様々な視点を模索することができたおかげで、より持続可能な国際会議運営や開催手段に対して一定の成果を残したと考えられる。
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