研究課題/領域番号 |
20K12435
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
田嶋 規雄 拓殖大学, 商学部, 教授 (20328008)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マーケティング / ジャパニーズポップカルチャー / 地域活性化 / ゲーム / 刀剣乱舞 |
研究実績の概要 |
本研究「観光資源としてのジャパニーズ・ポップカルチャー・イベントの発展パターンの分析」は、漫画・アニメファンの消費者行動分析から、観光資源としてのジャパニーズ・ポップカルチャー・イベント(以下、JPCEs)の発展プロセスを明らかにしようとするものである。2022年度は、事例として、ゲーム「刀剣乱舞」を取り上げ、栃木県足利市で開催されたイベント(ゲーム内のモチーフとなった刀剣の展示イベント)の成功要因の分析を行った。具体的には、7月にイベントが開催された足利市立美術館館長と足利市役所の担当職員数名にインタビューを行い、8月には地元商業会の中心人物にインタビューを行った。当該イベントは、過去2回にわたり開催され、それぞれ4億円以上の経済効果を同市にもたらすだけでなく、現地を訪れるリピーターや移住者の創出にもつなげた成功事例であり、本研究課題を遂行する上で適切な分析対象であると言える。 インタビューを通じて得られた知見は、「地域がジャパニーズ・ポップカルチャー・イベントを活用して持続的に成功を収めていくためには、行政内の連携と、行政、地元商業会、ファン、地域住民間での連携を持続的に図っていくための仕組みづくりが必要である」ということと、そのための条件であった。 今年度の研究成果は、書籍『知的財産で社会を変える』(同友館)第5章「聖地巡礼-IPを活用した地域振興」としてまとめられ、2022年12月に出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ここまで毎年度、研究課題に関連した成果を書籍の一部として出版できており、おおむね順調に進展していると判断できる(参考:「メーカーのカルチャー・コンピタンス・マーケティング―消費者情報処理に基づく製品のCCM―」『文化を競争力とするマーケティング』中央経済社、2020年3月/英仏の潜在的旅行者によるジャパニーズ・ポップ・カルチャーに対する情報探索行動」(共著)『青山総合文化政策学』2021年3月/「日清食品 ソーシャルメディア活用型コミュニケーション政策とD2C」『ポストコロナのマーケティング・ケーススタディ』2021年8月/"Cultural Events and Japanese Pop Culture in Europe: The case of the Japan Expo in France”(共著), Managing Cultural Festivals between Tradition and Innovation ,Routledge.2022年2月/「ジャパニーズ・ポップカルチャー・イベントの発展プロセス」「ジャパニーズ・ポップカルチャーを活用したインバウンド戦略」「ジャパニーズポップカルチャーはいかにマーケティングを革新するのか」『ジャパニーズポップカルチャーのマーケティング戦略』千倉書房、2022年3月/「聖地巡礼-IPを活用した地域振興」『知的財産で社会問題を変える』同友館、2022年12月)。 一方で、本研究課題の成果をより実り豊かなものにする上で、ジャパニーズポップカルチャー・イベントの地域への貢献の「持続性」についてより焦点を当て、研究を深めていく必要性を新たに認識し、研究期間の延長を行うに至った。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2023年度は、ジャパニーズポップカルチャー・イベントの地域への貢献の「持続性」に特に注目し、持続的に成功していると見られる数事例を取り上げ、インタビューおよび現地視察を行う予定である。インタビューを行う際に留意すべきこととしては、単なるイベントの成功要因の分析に終始せず、持続的にリピーターを誘引できているのか、地域主体内に持続的にマーケティングを実施できる仕組みづくりができているかという観点である。 そして、こうしたインタビューや視察と、理論的検討を基に、本研究課題のフレームワークを更新し、最終的なバージョンを提示する予定である。 研究成果は随時まとめ、学会発表および出版での公開をする予定である。現段階で、2023年7月に日本商業学会関東部会での発表と、研究課題に関連した書籍の出版が予定されている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の成果をより実り豊かなものにする上で、ジャパニーズポップカルチャー・イベントの地域への貢献の「持続性」についてより焦点を当て、研究を深めていく必要性を新たに認識し、研究期間の延長を行うに至った。 最終年度となる2023年度は、ジャパニーズポップカルチャー・イベントの地域への貢献の「持続性」に特に注目し、持続的に成功していると見られる数事例を取り上げ、インタビューおよび現地視察を行う予定であり、主として研究費はこれらの旅費に当てられる予定である。 また、研究成果は学会発表と書籍として出版されることも予定されており、成果作成のためのパソコンまたはタブレットと、プリンターの購入にも充てられる予定である。
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