研究課題/領域番号 |
20K12436
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
楽 奕平 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (20573116)
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研究分担者 |
青柳 西蔵 東洋大学, 情報連携学部, 助教 (20646228)
清水 哲夫 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (40272679)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゲーミフィケーション / 行動変容 / 観光混雑 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、観光混雑の回避に向けた働きかけとしてゲーミフィケーションを導入することで、より望ましい行動変容を導くかどうかを実証的に検証することを目的とするものである。初年度の研究実績は下記の通りである。 第一、ゲーム要素を特定するための予備調査及び効果的な行動変容を促すシステムの設計・構築を中心に進めた。予備調査は、行動変容に有効となり得るゲーム要素を特定し構造化していくものである。具体的な内容としては、既存の様々な分野のゲーミフィケーションのレビューを踏まえた上で行動変容を促す要素を抽出するとともに、複数のゲーム要素を組み合わせて設定した仮想の観光行動シナリオごとに、シナリオへの参加意思についてアンケート調査を実施した。各シナリオは、予定外の追加的観光行動とゲームが組み合わされたもので、参加意思を確認することでゲーム性により立ち寄りが誘発されるか判定される。 第二、アンケート調査で得られたデータを数量化II類を用いて、立ち寄り行動への寄与要因を分析した。アンケート調査の結果から、ゲームの要素による行動変容の違いが認められた。このため、観光混雑解消に向けて観光情報提供にゲーム性を導入するには、特定の観光スポット・利用者属性に応じたアプローチが有効であると考えられる。 第三、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界規模の流行により、ウィズコロナ時代の旅行として、混雑回避や観光施設の感染症対策が旅行先を選択する上での重要な判断要素となっている。こうした状況に対応して、研究計画を前倒しし、混雑情報を提供するシステム(Webアプリ)を構築の上、八ヶ岳観光圏の観光事業者の協力をいただき、混雑情報の提供による「密」回避を促す行動変容に関する実証実験を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、研究計画通りに予備調査を実施し、また、計画を前倒しして、混雑情報を提供するウェブシステムの構築を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2020年度に検討したシステムに必要な機能及び仕様に基づき、アプリケーションの実装を行い、設計したシステムを用いて、ゲーミフィケーションの導入による行動変容効果を検証する実証実験を実施する。当該実証実験ではシステムを利用するためのインターフェイスとしてスマートフォンのアプリを被験者に配布して実施する。被験者群をゲームへの参加群・非参加群に分け、グループ間の差を検証する。なお、2021年度に計画している実証実験に向け、カメラによる混雑状況の自動計測を準備中であり、よりリアルタイムでの混雑情報の提供を可能とする。 最終年度は、必要に応じて追加調査を行うとともに、実証実験で得たデータに基づいて、被験者群のグループ間の差を検証し、ゲーミフィケーションの導入による行動変容効果を定量的に分析する。また、各ゲーム要素の行動変容への寄与度を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響にて、現地で参加予定の学会がオンライン開催となり、旅費が使用されていなかったため、次年度使用額が生じた。 翌年度分の助成金と合わせて、実験に使用するアプリの開発費用、実験協力者への謝金、実証実験を実施するための旅費、及び学会に参加するための旅費等に使用する予定である。
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