研究課題/領域番号 |
20K12445
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
金 徳謙 広島修道大学, 商学部, 教授 (20366925)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Massive data / 島嶼観光 / GIS / 観光振興 / Webスクレイピング |
研究実績の概要 |
本研究は、岡山県および香川県の島しょ部などを会場とする瀬戸内国際芸術祭の持続的な開催(持続的な観光振興)が地域に与える影響をMassive dataを収集し分析することで明らかにすることを目的にするものである。このため、SNS上の画像データと観光対象へのレビューデータに大別して収集・分析して研究を進めている。 2020年度には、観光対象へのレビューデータを収集・分析するため、TripAdvisorを対象とした研究を行った。これらにくわえ、2021年度には画像データの収集・分析を中心に研究を行った。研究に用いた画像データにはプライバシー問題を含む取り扱いが難しい要素が多く含まれるため、本研究では撮影した場所と時期、撮影者の居住地に関する情報に限定した分析にとどめて実施した。まずは香川県を中心に研究を行った。その結果を2021年9月日本島嶼学会の年次大会で報告した。 また、データの収集や分析には効率向上のため、必要なコードを直接作成し用いている。2021年度中には分析に並行し必要なアルゴリズムの作成や見直しによる改善を進めてきた。現段階までの研究を踏まえると、当初の仮説がすべて否定されることは考えにくいが、最終年度にはさらなる検証が必要とされる。 なお、本研究の遂行に用いているデータ収集の手法および分析手法を、研究の成果と関連して取りまとめることもでき、本研究での着目点である空間的効果の分析手法としてのGIS利用を入門編および応用編として取りまとめ出版することにもつながった。入門編は2020年に出版され、2021年度の分析に用いた手法を主な内容とした応用編の出版にもつながり、2022年4月に出版することができた。 本研究では研究そのものの成果に加え、膨大な量の膨大な量のデータを取り扱う研究における分析手法の公開も成果としてあげることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍が長期化した影響による観光事象の停滞は、本研究のコアである観光者によるインターネットサイトへのレビューや画像のアップロードの停滞につながった。その結果、変化するデータの収集ができず、分析が進まなかった。また、各観光地において分析結果の検証が当初の予定通り進まなかった。この2点が研究の進展がやや遅れている理由である。 研究が当初の計画よりやや遅れた一方、研究室内での分析作業には当初の計画通りの成果以外に、分析手法の公開のため、研究に用いた手法を題材にした執筆が進んだ結果、出版にむすびつく成果をあげることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度である次年度には、画像およびレビューデータの分析結果の比較を中心に、地域への影響をまとめていくことになる。研究の進展がやや遅れているものの、年度内に取りまとめることに問題はないと考えている。このため、次年度中は、レビューデータと画像データの比較分析およびこれまでの分析の結果の検証を集中的に行うことを考えている。 なお、データ分析の手法の公開としての出版ができたので、それに加えてデータ収集の手法の公開につながるようにデータ収集の方法の確認なども改めて行うことも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍が長引き、調査研究のための出張費用および国際学会での成果報告の予定ができなくなったためである。次年度には本年度予定した調査出張を予定している。また、アルゴリズムの作成・修正・補強により、研究に必要なデータ収集のための専用サーバーの導入を検討している。当初の計画には掲載してないものであるが、研究におけるデータの収集及び分析の効率化を図るため、導入を検討している。
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