研究課題/領域番号 |
20K12450
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研究機関 | 山梨県富士山科学研究所 |
研究代表者 |
宇野 忠 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (80342963)
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研究分担者 |
堀内 雅弘 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (50310115)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 登山者の転倒状況 / 登山者の転倒率 / 登山者の転倒に伴うケガ / 富士登山ルートの比較 |
研究実績の概要 |
本研究は、富士山における登山者を対象としたアンケート調査により転倒の実態把握と関連する要因を明らかとし、転倒の予防・軽減に資する知見の提供を目的としている。これらの転倒実態と関連要因をルートの違い、日本人と外国人を比較することによりそれぞれの特徴を明らかとし、有効な転倒軽減予防につなげることを目標としている。 2020年は新型コロナウィルス感染防止対策として富士山の登下山道が通行止めとなり、富士登山者を対象としたアンケート調査を実施することができなかった。そのため、既存の富士山での転倒に関連する情報(富士登山者を対象としこれまでに実施したアンケート調査結果、山岳遭難事故報告)の解析を行った。 我々が2018、2019年に実施した山梨県吉田ルートでの日本人の富士登山者へのアンケート調査で得た有効回答1085人分(有効回答率71.3%)では、転倒を経験したと回答した者は363人(転倒者率33.5%)であった。転倒した場所は下り中が83%と最も多く、転倒状況は足を滑らせたスリップが63%で最も多かった。自己申告による転倒に伴うケガの発生は78件、擦り傷と切り傷が62%と最も多い転倒発生の実態が明らかとなった。 警察庁の山岳遭難事故報告による平成27年~令和元年夏期の富士山での転倒を含む遭難事故の平均発生件数は、山梨県(吉田ルート)4.4件であるのに対し、静岡県62.6件(その内富士宮ルート35件)と多く発生していることから富士宮ルートの転倒実態が吉田ルートと異なることが考えられる。今後、富士宮ルートおよび外国人登山者を対象としたアンケート調査を実施し、吉田ルートまたは日本人登山者との比較を行いそれぞれの発生状況の特徴および転倒関連要因を明らかとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、富士登山者の転倒状況を登山ルート別および日本人と外国人を比較することによりそれぞれの対象者に対し有効な転倒予防軽減の対策につながるデータの提供を目的としている。そのための研究方法は登山者を対象とした大規模アンケート調査の実施である。しかし、2020年は新型コロナウィルス感染防止対策として富士山の登下山道が通行止めとなり、富士登山者を対象としたアンケート調査を全く実施することができなかった。このことから当初予定していた研究目標を達成することが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染防止対策として富士山の登下山道が通行止めとなり、2020年は富士登山者を対象としたアンケート調査を全く実施することができなかったことから、当初の研究期間では、富士宮ルートと吉田ルートの日本人登山者での比較、吉田ルートでの日本人と外国人の比較を行うに十分なサンプル数を得ることが困難となる可能性がある。また、2021年以降、新型コロナウィルスの影響により外国人旅行者の減少が考えられることから、研究内容を登山ルート別の調査に集約する対応や研究期間の延長を視野に入れ、今後の富士山での登山を取り巻く状況により研究内容の修正を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大対策として富士山の登下山道が閉鎖されたため研究対象である富士登山者へのアンケート調査の実施、解析データの所得が出来なかった。このとこから、アンケート実施における物品購入、アンケート調査員およびデータ入力員の人件費、データ解析用PC(2台予定のうち1台)の購入を行わなかった。2021年は、夏期富士登山は開山される予定であることから登山者を対象とした調査を日数、調査員、データ入力員を増やし実施することで使用する計画である。
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