研究課題/領域番号 |
20K12453
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
金井 郁 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70511442)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 女性管理職 / ジェンダー / 役割 / 機能 / 短時間管理職 |
研究実績の概要 |
これまでの本科研で遂行してきた女性管理職研究を初学者の学生や一般向けテキスト『キャリアに活かす雇用関係論』(駒川智子・金井郁編、世界思想社)の第8章「管理職―誰もが働きやすい職場のキーパーソン」にまとめた。①管理職は、統計上どのように把握されているのか、国際比較および国内の統計によっても異なっていること、②法律上の管理職の定義を整理し、③管理職の役割がコロナ禍で変化してきていることを指摘した。④現状の管理職調査で明らかになっている日本の管理職の特徴、年齢層が高く「遅い昇進」であること、長時間労働である一方、転勤や異動はある者も多いが、転勤や異動をしていない管理職も一定層いる。⑤こうした特徴が、管理職には男性が多く女性は少なく、男性は結婚したり子どものいる管理職がマジョリティである一方、女性の管理職は結婚していなかったり子どものいない者が多いことにつながっている。⑥先行研究では管理職も役割が不明確で仕事の成果が把握しにくいと言われているが、近年、管理職については担っている「役割」に応じて「職責グレード」のような担っている仕事のレベルを具体的に定義し、遂行されるべき職務を役割として特定化していく動きがみられる。一方で、⑦日本の管理職はプレイングマネージャーが多く、そのプレイヤー度も高い。⑧近年、管理職と部下の間の双方向型コミュニケーションを制度化する企業が増え、従業員一人一人が自律して課題設定や業務遂行できるよう促され、従業員側から好意的に受け取られているとする調査結果が多いが、日々多忙で労働時間の長い管理職をさらに多忙にする側面もある。⑨短時間管理職の事例から、管理職像の多様化が必要なことを指摘した。 そのほか、パチンコ産業でほとんど誕生していない女性店長5人のインタビューから、その実態と課題を国際学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
4年間の科研期間であったが、コロナ禍の影響により、思うように調査ができなかった。 また、2023年度は健康上の事情で、研究が中断された。そのため、国際学会も対面参加で申し込んでいたが、直前にオンライン参加に変更した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度と考えており、①女性の少ない産業(パチンコ産業)での女性管理職をめぐる調査、②女性の多い産業(生命保険産業)での管理職(女性)-部下(女性)、管理職(男性)-部下(女性)、管理職(男性)ー部下(男性)でマネジメントはいかに異なるのかを論文にまとめる。従来の研究蓄積も踏まえて、管理職の役割と機能とジェンダーの関係を考察し、まとめとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に国際学会で対面で参加予定であったが、健康上の事情で、直前にオンライン参加となった。またその影響で、4か月研究が中断したことによって、調査などを実施できず、差額が生じた。 2024年度は、7月にローマで開かれる国際学会IAFFEに参加予定である。また、遅れていた調査を実施する予定であるため旅費の支出、関連する支出がある。
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