本研究の目的は、大学で展開されるジェンダー教育において、性的指向・性自認に関する動向がどのように教員の認識や教育内容・方法に影響を及ぼしているかを調査し、性的マイノリティ当事者学生(以下、当事者学生)の参加を前提とした教育内容・方法の編成やアクティブ・ラーニングを含めた教授にあたっての留意点を導き出すことである。研究会等において、当事者学生から、ジェンダーをテーマとする授業内におけるグループ・ワークで、自分のセクシュアリティを話すという課題を果たされたり、他の学生から性的マイノリティを受け入れられるかという問いをふられたりするなどして当惑したという声を聴き、授業設計において当事者学生の参加を想定することの重要性を再認識している。 本年度まで、文献調査及び研究会等への参加により、性的指向・性自認の概念の変遷、国内大学における性的マイノリティの理解促進に向けた取組調査、大学で行われている性的指向・性自認を扱ったジェンダー教育の動向調査を行ってきた。 当初の研究計画では、郵送による質問紙調査と対面調査を予定していたが、新型コロナ感染症拡大予防のため、Webアンケート調査及びオンラインでの対面インタビュー調査に変更することとした。Webアンケート調査については、学術を専門とするアンケート調査業者に委託して実施する予定であった。しかしながら、本年度、健康上の事由により、本研究及び本務の遂行継続が困難となり、退職することとなったため、調査は未実施となった。研究経費については、Webアンケート調査費用が経費総額とほぼ同額となることが見込まれたため、使用するに至らず、全額返金することとなった。
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