研究課題/領域番号 |
20K12456
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
池田 恵子 静岡大学, 教育学部, 教授 (60324323)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 防災 / 政策実施ギャップ / ジェンダー / 多様性 / 組織文化 |
研究実績の概要 |
①2020年度に佐賀県全市町及び県の危機管理担当部署(以下、防災担当)と男女共同参画担当部署(以下、男女担当)を対象に実施した「ジェンダー・多様性の視点による防災・災害対応」の政策の導入と実行の最新状況に関する質問紙調査、②計6自治体を選定して、防災担当及び男女担当、必要に応じて高齢者・障害者福祉の担当部署(避難行動要支援者関連)へ行ったインタビュー調査の結果を総合し、男女共同参画の視点による防災・災害対応の進展に影響する要因の考察を完了した。 本研究を開始した時点では、以下の点を当該分野の施策導入に影響する要因と考えていた。「①性別・多様な立場による被災の違いや、女性のリーダーシップの必要性に関して政策実施関係者の共通理解がある。②地域組織や民間の非営利団体による地域防災活動が活発で行政との連携が良好である。③防災・災害対応分野に限らず男女共同参画政策の導入が盛んである。④政策実施に関わる団体がもつジェンダーの組織文化に自覚的であり、これを是正するための組織としての取組がある。⑤同政策の導入・実施に関して都道府県の方針が明確で市町村への支援がある。」しかし、②及び④については、要因としてそれほど重要ではなく、また⑤については、市町村の担当者が施策の具体的事業事例の情報にアクセスし活用できているかが重要であることがわかった。 加えて、⑥男女担当の人員配置に余裕があること、⑦男女担当と防災担当の職員の間に良好なコミュニケーションがあること、⑧防災担当の職員が防災について高い専門性と経験を持つか、あるいは男女共同参画や多様性・人権配慮に関する知識があることも施策を促進する要因となることがわかった。 2021年度に静岡県にて実施した、「自主防災組織への女性の参画促進」施策に関する調査報告書を活用し、市民と行政が参加するシンポジウムを実施し、県に対して政策提言を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、佐賀県における調査結果の考察を完了することができた。また、静岡県における「自主防災組織への女性の参画促進」施策に関する調査の結果を活用し、「ジェンダー・多様性の視点による防災・災害対応」の中での特定施策の導入過程に関する事例研究を行うための基礎的な情報の収集を行うことができた。 しかしながら、研究代表者が大学内の管理業務への従事により多忙化し、本研究課題に十分な時間を割けなかったことに加え、新型コロナ感染症の感染状況が終息せず、新たな調査地での調査依頼が困難であったことから、予定していた以下の研究は実施できなかった。 ①佐賀県の調査で得られた考察の結果(「ジェンダー・多様性の視点による防災・災害対応」の政策導入と災害時における実行を促進・阻害する要因の検討、同政策の自治体への実施過程で明らかになった課題の整理など)を他県で検証するインタビュー調査。 ②静岡県における特定施策の導入過程に関する事例研究のためのインタビュー調査。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、上記【現在までの進捗状況】に記載した、2022年度中に実施できなかった調査を実施する。これらの調査の旅費、聞き取りデータの書き起こし費用、調査結果を活用したシンポジウム開催費用、報告書の作成、「ジェンダー・多様性の視点による防災・災害対応」の政策導入に関する行政・地域防災組織向けの手引きの作成などに経費の支出が見込まれる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が大学内の管理業務への従事により多忙化し、本研究課題に十分な時間を割けなかったことに加え、新型コロナ感染症の感染状況が終息せず、新たな調査地での調査依頼が困難であったことから、予定していた以下の研究は実施できなかった。 佐賀県の調査で得られた考察の結果(「ジェンダー・多様性の視点による防災・災害対応」の政策導入と災害時における実行を促進・阻害する要因の検討、同政策の自治体への実施過程で明らかになった課題の整理など)を他県で検証するインタビュー調査。 上記の調査については、次年度に実施する予定であり、そのために旅費や謝金を支出する予定である。
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