研究課題/領域番号 |
20K12461
|
研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
三宅 禎子 岩手県立大学, 高等教育推進センター, 教授 (30305271)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | インターセクショナル・フェミニズム / プエルトリカン・ジェンダー / ブラック・フェミニズム / 米国フェミニズム / プエルトリコ / 米国領土 / 法的植民地 / 多様性の概念 |
研究実績の概要 |
本年度はcovid-19感染症拡大のため、予定していた現地調査を延期し、文献分析を主に実施した。特に、米国のブラック・フェミニズムから提起されたインターセクショナル・フェミニズムの言説の分析を中心に実施した。 1960年代、隆盛を極めた米国の第二波フェミニズムに対し、黒人女性たちは白人中産階級の運動に過ぎないとして距離を置く姿勢が鮮明であった。同様にラテンアメリカの女性たちも1975年の国連後援のメキシコ世界女性会議の場で富裕層女性解放の運動に対し厳しい批判を浴びせかけるなど、当初から、白人主流の米国フェミニズムに対する反発には激しいものがあった。しかし、その亀裂が、主流であった白人主流のフェミニズムへの新たな視点をもたらすことになった。米国のブラック・フェミニズムが提起したインターセクショナル・フェミニズムは、状況の異なる米国内の多様な女性の状況に対する一つの回答でもある。人種、マイノリティー、階層、文化の多様性からくる女性たちの置かれた状況を一括りにするのではなく、フェミニズム理論の視点の多角化を主張した。 発端は黒人女性の置かれた状況を分析するために生まれた理論であるが、現在では、各マイノリティグループの女性の状況の理解にも有用であることが論じられ、米国内外のマイノリティ女性の個別状況の理解の進化をもたらした。また、その状況は時代によっても変化し、常にその理解を深める努力が持続されなければならないことも意味する。プエルトリコ女性の昨今の状況も、プエルトリコ人連邦議会下院議員AOCの出現など、米国本土でアメリカ人として活躍する女性の進出などの事例が増加しており、プエルトリカン・ジェンダーの問題を、島も含めてアメリカの一側面として捉え直しつつ、米国内に存在する女性の状況の多様性への理解への認識の進化とともに新たな段階として捉え直す必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度はcovid-19感染症の拡大のため、予定していた現地調査を延期せざるを得なかった。従って、予定していたLibrary of Congress, Washington, DC, National Archives Research Center におけるアレクサンドリア・オカシオ・コルテス連邦議会下院議員及びプエルトリコ、サンフアン女性市長カルメン・ユリン・クルスの言動を巡る連邦議会での議論に関する議事録の収集・分析に着手できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
covid-19感染症拡大が収束し次第現地調査を実施する。現地調査での資料収集では、目的とする資料以外の部分についても多くの情報を収集する機会に恵まれることが多く、研究視点の広がりが得られるので得難い研究活動となるものであるが、現状を鑑み、インターネット上の手段を利用した資料収集・分析の強化に努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度はcovid-19感染症の拡大のため、予定していた現地調査を延期せざるを得なかった。従って、予定していたLibrary of Congress, Washington, DC, National Archives Research Center におけるアレクサンドリア・オカシオ・コルテス連邦議会下院議員及びプエルトリコ。サンフアン女性市長カルメン・ユリン・クルスの言動を巡る連邦議会での議論に関する議事録の収集・分析に着手できなかった。covid-19感染症が収束し次第現地調査を実施する。
|