研究課題/領域番号 |
20K12472
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
根本 宮美子 専修大学, 経営学部, 教授 (60737617)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジェンダーバイアス / 企業 / 組織文化 |
研究実績の概要 |
海外渡航等の制限は続き、当初の計画に沿ったデータ収集を行うことが困難ではあった。限定的ではあるが可能な範囲でデータ収集と分析に努め、その分析経過について意見交換を行い論文作成を行った。企業組織における獲得スキルのジェンダーギャップについては欧米の研究では大きな議論が展開されていることから集中的に文献収集と整理を行った。実績としては以下の通りである。まず、日本企業におけるジェンダーギャップを縮小させる可能性として指摘されている女性の社外取締役の増加について、その背景と日本企業の実情についての分析結果を含む論文を発表した。上場日本企業において女性取締役数が急速に増加したが、この背景として2014年以降のコーポレートガバナンス改革と海外投資家の動きと圧力があること、また、取締役以下の女性管理職は依然少数であり、引き続き日本企業のジェンダーギャップの特徴である事実は変わっていないことを指摘した。さらに、日本におけるジェンダーバイアスと家族と経済政策の関係についてその歴史的経緯に触れながら日本社会構造の特殊性、つまり日本のジェンダー構造の特殊性(欧米との違い)についても論文を発表した。また、企業と組織におけるジェンダーバイアスを克服するための手段として、女性リーダーと男性リーダーのリーダーシップの違いとはどのようなものか、そして、女性リーダー自身がいかに、組織におけるバイアスや偏見を踏まえて戦略的なリーダーシップを遂行できるのかについて現在の学術研究を踏まえて、その困難と問題点を指摘し、さらに女性リーダーの存在とそのリーダーシップの遂行が企業のデジタル化発展の度合いとどう関係しているのかについて論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
海外渡航と学会参加も引き続き規制があり、参加が困難であったためデータ収集および意見交換については十分に時間を費やすことができなかった。しかし、企業組織におけるジェンダーバイアスをめぐる議論に関する文献の整理を進展させることができた。さらに、今後は現在までの聞き取りデータの分析を進めることとする。また、本年度は状況を見ながら海外でのデータ収集も行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、現在までの収集データ分析を目指し、ジェンダーバイアスがいかなる形で組織の中に内在しているかについて詳細分析を行う。また、雇用プロセス、配属、チームワーク、キャリア指針の形成、昇進、においてどのようにそのバイアスが立ち現れ、バイアスに基づいた判断が適用されるのか、そのプロセスをケースごとに分類化する。 以上の分類とケースごとの分析を元にして論文作成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの渡航や面会等の規制によりデータ収集を行うことができなかったため、当初の計画に変更が生じた。本年度はデータの収集と分析、さらに成果論文執筆のためにこれを使用することとする。
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