研究課題/領域番号 |
20K12480
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研究機関 | 筑紫女学園大学 |
研究代表者 |
赤枝 香奈子 筑紫女学園大学, 現代社会学部, 准教授 (00536576)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | セクシュアリティ / ジェンダー / クィア・スタディーズ / レズビアン |
研究実績の概要 |
本研究はクィア・スタディーズの観点から日本におけるセクシュアル・マイノリティにかかわる運動の歴史を再検討し、その課題を明らかにするとともに、性をめぐる規範を問い直し、ジェンダーとセクシュアリティにかんする議論を理論的、実践的に深化させることを目的とする。具体的には①文献調査およびインタビュー調査をもとに、日本におけるセクシュアル・マイノリティにかかわる運動の歴史とその課題を解明する、②クィア・スタディーズの知見を活かしながら、 日本のレズビアン史を解明する、③日本のセクシュアル・マイノリティにかかわるアクティビズムをグローバルな視点から分析することにより、ジェンダー・セクシュアリティ規範に変容をもたらす方法を提示する。 2021年度は、2020年度に引き続き上記①のセクシュアル・マイノリティにかかわる運動の歴史の解明のため、文献およびフィールド調査を行った。東京以外の地域での活動や、セクシュアル・マイノリティにかかわるアートやサブカルチャーの歴史なども広く取り上げるため、地方都市で開催されたプライドイベントや、パンクをテーマとした展覧会や関連イベントに参加し、セクシュアル・マイノリティにかかわる運動の歴史や近年の運動の広がりについて調査した。また、LGBTアクティビズムにおける中心的な活動の一つである婚姻の平等を求める運動について、歴史的観点を踏まえて考察する論文を執筆した。さらに、セクシュアル・マイノリティにとって重要な文化の一つであるドラァグに関する文献を収集した。上記②に関しては、レズビアン映画に関する調査を進め、論文を執筆した。また、本研究において目指しているアカデミアとアクティビズムの架橋のため、2022年度にレズビアン映画の上映会を共同開催する予定であり、そのための作品上映権を購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度も引き続きコロナ禍により、国内外での調査を計画通り実施することができなかったため。当初の計画では、2021年度は東京での文献調査や地方でのインタビュー調査(それぞれ複数回)、サンフランシスコやロサンゼルスでのレズビアンにかんする歴史資料のアーカイブ調査を行う予定であったが、それらを中止せざるを得ない状況により、2022年度以降に実施することになった。そのため、進捗状況としてはやや遅れている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は2020年度、2021年度にコロナ禍のため中止した国内での文献調査やインタビュー調査を実施し、セクシュアル・マイノリティにかかわる、東京以外の地域での活動やアートやサブカルチャーの歴史の解明を引き続き進める。また、レズビアンに関連する文献資料やメディア資料の調査および収集、購入を行い、アーカイブ構築の作業を行う。さらに、レズビアン映画の上映会に向け準備を進め、開催する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定していた国内外での調査の多くが実施できなくなったこと、また研究会がオンライン開催に変更になり会議費が不要になったことなどから次年度使用額が生じた。今年度はこれらの中止になった調査を可能な限り実施するとともに、当初の計画通りレズビアンに関連する資料のアーカイブ構築に向け、文献資料やメディア資料の収集、購入を行う。また、昨年度、上映権を購入したレズビアン映画の上映会を企画・開催する。
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