研究課題
基盤研究(C)
電子スピン共鳴ミュエスアール法によるミュオニウム(Mu)欠陥研究を開拓するために、実験で必要となるRFプローブを開発し、J-PARC物質・生命科学実験施設での実証実験を通して同手法を確立した。これを用いてルチルTiO2中に生じた常磁性Mu欠陥のg値を測定することに成功し、常磁性H欠陥に対するg値との間に微小ながら差異が存在する可能性を示唆する結果を得た。今後、装置の改良によりg値の測定精度を向上させることで、Mu・H欠陥に関する同位体効果の研究へと発展することが期待される。
物性物理学、量子ビーム科学
常磁性Mu欠陥のg値を測定する手法を確立したことにより、その電子状態をより多角的に解析できるようになった。これは水素とMuのアナロジーに基づいた水素欠陥研究と、水素・Mu欠陥間の差異に関する同位体科学のさらなる発展につながる成果である。また、本研究を通してJ-PARCミュオン実験施設に初めて導入された4He温度におけるRFスピン共鳴技術は、Mu欠陥研究に限らず低温物性研究に広く応用できることから、磁性研究などの他分野への波及効果も期待される。