研究課題/領域番号 |
20K12501
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
平出 哲也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (10343899)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 水 / OHラジカル |
研究実績の概要 |
令和2年度は国際会議等による調査を計画していたが、コロナ感染拡大の影響で、実施できなかった。コロナ感染が収束後に実施することとした。会議等への参加による調査は実施できなかったが、令和2年度は本研究でもっとも重要な陽電子消滅寿命-運動量相関(AMOC)測定装置の開発を中心に実施した。多くの条件での測定を実現するために高計数率化は必須であったため、優先して試みた。シンチレーション検出器を5台使用し、計数率を増加させるため、用いるシンチレータはBaF2結晶とし、上底2㎝φ、下底3cmφ、高さ3cmのシンチレータに交換した。その後、計数率向上のためのボトルネックが波形計測に用いているデジタルストレージオシロスコープ(DSO)の計測速度であることが判明し、デッドタイムを最小にするため計測の効率化を実現する新しい計測方法を導入した。その結果、10cps以上の計数率を実現し、1日80万カウント以上を達成することに成功した。時間分解能を230ピコ秒(半値幅)を維持しながら、高計数率を達成した。消滅ガンマ線計測用のシンチレータをルテチウムシリコンオキサイド(LSO)に変更することを試み、同サイズのシンチレータで時間分解能290ピコ秒(半値幅)も達成できている。しかしながら、現状のDSOでは10cps程度が限界であると考えられる。使用してきたDSOが故障し、すでにメーカーが修理対応期限が過ぎているため、DSOの更新も今後検討する。DSOの計測が高速化できれば、LSOを用いてさらに高計数率が実現できると考えられる。 開発された装置で、水の測定を行ったが、従来に比べ計数率が10倍以上に大幅に向上し、効率的な研究を実施できる環境が整いつつある。DSOの更新の必要性、コロナ感染による旅費支出等の減少から、予算の使用方法の変更も検討しながら研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、当初計画どおりに調査を実施できなかったことから研究計画を見直し、令和2年度に予定していた調査等は後年度に行うこととして、装置開発等、実施可能な研究内容から対応しているが、研究に使用する一部装置が故障により使用不能になる等の予期せぬトラブルが発生したこともあり、当初計画に対しては、やや遅れているという状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度においては、当初計画に対して遅れている会議参加や研究協力者の研究室を訪問して行う調査等は、新型コロナウイルス感染症の感染状況が収束後に実施する予定であり、当面は、それ以外で実施可能な研究内容から進めることとする。また、本研究で使用していたデジタルオシロスコープが故障し、令和3年3月で製品サポート期間が終了したことに伴い、修理することができなくなったため、今後の研究が遅れる原因になる可能性がある。これについては、後継機種の購入等により対応を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、令和2年度に予定していた会議等への参加が出来なくなったため、会議参加に係る費用が次年度使用額として生じた。次年度使用額は、令和3年度経費と合わせて、会議参加に係る費用やデジタルオシロスコープ等の購入に係る費用として使用する。
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