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2020 年度 実施状況報告書

更なる大強度陽子ビームを可能にする可変収束力電子銃レンズの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K12502
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

栗本 佳典  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (70597559)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード陽子加速器 / 空間電荷効果 / 電子銃レンズ
研究実績の概要

電子銃レンズの設計仕様を決めるため、当該装置による補償対象となる大強度陽子加速器J-PARC Main Ringにおける空間電荷効果のシミュレーションを行ったところ、空間電荷効果由来となる高次のベータトロン共鳴がビーム損失に寄与していることを突き止めた。また、この効果はビーム強度が大きくなるにつれて顕著になることも分かった。当初は、陽子ビームがつくる空間電荷ポテンシャルをすべて補償するような20 A程度の大電流の電子銃レンズを想定していたが、このシミュレーション結果によると、高次の効果だけでも補償できれば、0.1 %- 1 %の電流値でも十分に効果を発揮できる可能性があり、その場合には、実機の早期実現が期待できる。
そこで、電子銃の高圧電源を設計するという当初の計画を変更し、J-PARC Main Ringの空間電荷効果ポテンシャルのどの多極成分がビーム損失に寄与しているかの詳細な解析を行うことにした。その結果、ビーム軸に垂直なxy平面(xは水平方向、yは鉛直方向)上の二次元空間電荷ポテンシャルを考えた時、y^8に比例する成分がビームロスに寄与していることが分かった。このような高次の効果は、いわゆるRapid Cycleのシンクロトロンでは観測できず、J-PARC Main Ringのような秒オーダーの長いサイクル周期をもつ加速器特有の新しい現象だと考えられ、ビーム増強への障壁になり得る。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究実績に記載したように、J-PARC Main Ringのシミュレーションを進めていくうちに、より小さい電流値の電子銃レンズでも大強度陽子加速器のビーム損失を十分に減らせることが分かったため、電子銃の高圧電源を設計するという当初の計画を変更し、J-PARC Main Ringの空間電荷効果ポテンシャルのどの多極成分がビーム損失に寄与しているかの詳細な解析を行うことにした。これにより、ハードウェアの設計は遅れている。一方で、空間電荷ポテンシャルのy^8の成分を主に補償すれば十分だという新たな知見が得られた。

今後の研究の推進方策

大強度陽子加速器J-PARC Main Ringの空間電荷ポテンシャルのy^8の成分を補償するプロファイルになるように電子銃の設計を行う。また、並行してそのプロファイルの電子銃を用いたときにJ-PARC Main Ringのビーム損失がどのように応答するかのシミュレーションを行う。さらに、当初予定していた電子銃の電源の作成も行う。

次年度使用額が生じた理由

J-PARC Main Ringのシミュレーションを進めていくうちに、より小さい電流値の電子銃レンズでも大強度陽子加速器のビーム損失を十分に減らせることが分かり、電子銃の高圧電源を設計するという当初の計画を変更し、J-PARC Main Ringの空間電荷効果ポテンシャルのどの多極成分がビーム損失に寄与しているかの詳細な解析を行うことにしたため、ハードウェアの設計は遅らせた。したがって、当初計画していた電子銃の高圧電源の製作を次年度に行う。

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公開日: 2021-12-27  

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