研究課題/領域番号 |
20K12514
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
加藤 健郎 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (70580091)
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研究分担者 |
村松 慶一 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 准教授(任期付) (30634274)
井関 大介 東京造形大学, 造形学部, 准教授 (20880652)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デザイン思考モデル / AI / 発想支援 / Word2Vec |
研究実績の概要 |
本研究では,デザイナとAIによる協調デザインの実現に向けて,デザイン科学分野におけるデザイナの思考モデルに基づき,AIがキーワードの発想(と学習)を,デザイナがその評価・分析を行うアイデア発想支援システムを構築することを目的としている. 2020年度の研究では,デザイナとAIの協調によるアイデア発想のための思考モデルに関する検討と,それに基づく,アイデア発想支援システムの施策について実施した.なお,デザインに用いられるキーワードの特徴分析については,コロナ禍によりワークショップの開催などができなかったため,次年度に行う方針としている. まず,思考モデルについては,既存のデザイン行為のモデル(MarchによるPDIモデル,Jonesによるシステマティックデザインモデル,Mesarovic;とWattsよるアイコニックモデル,Normanによる人間中心デザインプロセス)における共通点として,3つの推論(帰納,仮説形成,演繹)のループの重要性を示唆するとともに,AIが支援する推論として,主に(キーワードの)発想行為に関連する仮説形成と,主に分析行為に関連する帰納を挙げた.次に,AIが支援する推論とヒトの推論を融合するためのアイデア発想支援システムの試作を行い,適用可能性を示唆した.具体的にはWord2Vecを用いてキーワードのベクトル化を行い,それらを,デザインモデルの一つである多空間デザインモデルに基づくキーワードのカテゴリ(価値・意味・状態・属性)に分類し,ベクトル演算によりキーワードを創出するシステムを試作した. これらに関する成果は,原著論文1件,国際会議発表1件,国内会議発表1件にて報告された. 以上のように本研究は,コロナ禍による実施順番を若干見直したものの,研究実施計画と同等の進捗で実施されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたように,本研究は,コロナ禍による実施順番を若干見直したものの,研究実施計画と同等の進捗で実施されている.今後も引き続き,研究および成果発信を推進していく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
次年度の2021年度の研究では,コロナ禍によりワークショップの開催ができなかったために延期していたデザインに用いられるキーワードの特徴分析について推進する.具体的には,今年度もワークショップの開催が難しいことから,過去のワークショップによる分析や,オントロジーの視点に基づく分析を行う予定である.キーワード分析には多くの時間を要すると考えられる.このため,人件費を利用しながら効率化を図ることで,研究を活性化していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の使用額が減額された理由として,コロナ禍により,1)国外・国内会議の旅費が計上できなかったこと,2)ワークショップが開催できなかったこと,3) 2)によるキーワード分析が進まず機械学習用サーバーの購入を先延ばししたこと,が挙げられる.本費用は2021年度における,機械学習用サーバーの購入や研究成果の発信(学会発表や論文投稿)の費用として計上する予定である.
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