研究課題/領域番号 |
20K12516
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
三上 浩司 東京工科大学, メディア学部, 教授 (10386782)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 動的難易度調整 / メタAI / レベルデザイン / ゲームデザイン / 生体情報 |
研究実績の概要 |
2023年度は,2022年度に引き続き文献調査と既存ゲームにおける分析をもとに,Plutchikならびに里井らの感情推定手法をベースに研究を進めた.一方でプレイヤーから取得するデータをこれまでの「心拍数」に加え画像認識を用いて「表情」を分析する手法に拡張し研究をつづけた. 「表情」をもとにした感情推定はWebカメラを用いた画像認識の手法を採用し,試作プログラムを実装した.プレイヤーの表情からプレイヤーの心情を想定し対戦AIのふるまいを変えるシステムを開発しデモを行った.試作版ではPlutchicらの感情分類ではなく,「HSEmotion」を用いた.「HSEmotion」は8種類の感情を推定可能なライブラリでありこの感情をもとに,「強気」,「普通」,「弱気」を推定し,対戦AIのふるまいを変更させた.. 生体情報をもとにした動的難易度調整に関しては,2023年度までの心拍数を利用した機能を引き続き想定しつつ,よりプレイヤーに気付かれにくい調整方法の検討を行った.3Dの対戦アクションゲームを想定して,攻撃を始める敵との距離を長くしたり,ダメージを受けた後のノックバックを多くとり,追撃を受けないような調整を検討した.また,一般的な遷移確率なども調整し,プレイヤーがゲーム上の調整に気が付きにくい手法を検討した. これらの研究の結果は,情報処理学会エンタテインメントコンピューティングシンポジウム(EC2023)においてデモ発表を行い,来場者と意見交換を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究目的に対し,生体情報を活用した動的難易度調整の実現や,2次元の感情マップと生体情報を連動させる機能の試作,より気付かれにくい動的難易度調整手法の検討などの点で確実な成果が見られ,国内学会での発表も実施できている. 一方で感情マップの多次元化や,個々のシステムすべてを組み込んだプロトタイプの実装はまだできていない.そのため,おおむね順調な進展であると考える.
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今後の研究の推進方策 |
感情マップの多次元化と全体を統合したプロトタイプの構築に向け研究を進める.そのために,さらなる調査と研究として,人工知能学会や情報処理学会エンタテインメントコンピューティング研究会において動的難易度調整や感情推定に関する最新動向を調査する予定である.また,ゲームやエンタテインメント関連の学会や展示会に参加し調査と発表を行いたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により実証実験を伴う研究に遅れが生じているためにそこに使用予定だった予算が残ってしまった.また,国際会議等への参加が困難な時期が生じたり,円安や物価高の関係から適切な金額で実施が難しいため見送るケースもあった.次年度は実証実験にかかわる補助者の人件費や予算に見合う国際会議,国内の学会等の参加に使用する予定である.
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