本研究は,ロボットアームを用いた空間の構成法について形態,材料および構造形式の組合せについて,小型ロボットアームを用いた空間のスケールモデルを架設するプロトタイピングを行い,ロボティクスの導入により新たな構成法による空間の創出を目的としていた。 ロボットアームを用いた空間の架設においては,ロボットの可動領域を超える規模の空間を架設することが課題であると考え,令和2年度には材料と空間形態の検討を行った。材料には高弾性の竹材を採用し,しならせることでアーチ架構を形成する。ロボットアームでアーチ架構を架設するために,竹材の端部を支点に差込み,竹材を掴み直しながら引寄せることで架設を行った。これにより,可動領域と同程度の空間を架設することができた。 令和3年度には,同型のロボットアームを導入して二台のロボットアームを用いて空間の構築を行った。令和2年度と同様に竹材をしならせたアーチ架構で空間を構築するが,二台のロボットアームで竹材の両端を掴み,しならせながらアーチ架構を架設することで,令和2年度に架設した空間の約1.6倍の規模を実現することができた。ただし,並列したアーチ架構は水平剛性が低く,パビリオン全体の剛性を高めることが課題であることが明らかとなった。 最終年度は,竹造アーチ形式パビリオンの剛性を高めるために,アーチ架構を傾斜させることでアーチ架構を交差させ,その交点を結束することを課題に設定した。令和3年度に架設したパビリオンの規模を対象とすると,ロボットの可動領域内にすべての交点を含むことができないため,ロボットアームのエンドエフェクタを設計し,製作した。エンドエフェクタはすべての交点に到達できる長さを有し,鉄線を交点に巻付けることで結束する機構とした。結束実験を行った結果,結束の可能性を示すことができたが,アーチの剛性の低い箇所では,十分に結束できなかった。
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