研究実績の概要 |
ユネスコ無形遺産文楽人形の動きは、世界で最も美しい感情表現動作といわれる[2]。文楽人形は日本最古で、単純だが高度な機械的カラクリ構造を持ち、優れた感情表現動作を行う。文楽人形は、あらゆる動きの中で人間と高度に類似する一方、不気味の谷の影響を受けない唯一のものである。本研究では千年以上前の庶民の木偶から始まる日本最古のからくり構造をもつ浄瑠璃人形文楽の感情動作表現(所作=「型」)・インタラクション(「音×リズム×動き×序破急」)を解析し,その動き・インタラクションを,経験的固有モード分解(EMD:Huang, 2009)し, 語り,三味線から『序破急』のテンポ(ビート)変化を求め,キーフレームとして基本動作をセグメント化する.その分解・セグメント化された,基本感情動作表現の部品化を科学的に行う.部品化された動作表現を,さらに「序破急」の緩急をベースに「型」にくみ上げ,AI搭載ホームロボットの感情表現動作に再利用する.この部品化された「型」を用い, 「音×リズム×動き×序破急」を用い,人とロボットのインタラクションデザインを行う. 本年度では,同じ序破急を使う、能のシテ、大鼓、小鼓、笛の<息>を筋電計で計り,ヒルベルトファン変換を行い、コミと呼ばれる動機の所作及び、「息」による序破急リズムをロボットと人のインタラクションに取り入れる研究を行った。このことにより、人形の動きは,序破急に同調し,外しながら,やはり,序破急で,「型」をつなぎ,世界で最も美しい破調のインタラクションと表現美を作り上げていく。また、今年度はモーションキャプチャした、人形動作を、実際のロボットに移植するため、逆運動力学計算を行い、異なる骨格を持つロボットへ移植した。ロボットの音と動きに関する感性面から探究するため、アニメーション12原則から、序破急を加えた文楽人形の原理を検討した。
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