研究実績の概要 |
ユネスコ無形遺産文楽人形の動きは、世界で最も美しい感情表現動作といわれるがその実態は詳しく解明されていない。文楽人形は日本最古で、単純だが高度な機械的カラクリ構造を持ち、優れた感情表現動作を行う。文楽人形は、あらゆる動きの中で人間と高度に類似する一方、不気味の谷の影響を受けない唯一のものである。本研究では千年以上前の庶民の木偶から始まる日本最古のからくり構造をもつ浄瑠璃人形文楽の感情動作表現(所作=「型」)・インタラクション(「音×リズム×動き×序破急」)を解析し,その動き・インタラクションを,経験的固有モード分解(EMD:Huang, 2009)し, 語り,三味線から『序破急』のテンポ(ビート)変化を求め,キーフレームとして基本動作をセグメント化する.その分解・セグメント化された,基本感情動作表現部品化を科学的に行う.部品化された動作表現を,さらに「序破急」の緩急をベースに「型」にくみ上げ,AI搭載ホームロボットの感情表現動作に再利用する.この部品化された「型」を用い, 「音×リズム×動き×序破急」を用い,人とロボットのインタラクションデザインを行う.本年度は、従来モーションキャプチャしていた人形の動作をヒルベルトファン変換し、主遣いの人形の所作から発せられる、左遣いへの合図である「ホド」、「ズ」の解析をおこなった。その結果は、これらの合図は、序破急とよばれる、日本の伝統芸能である独特のリズムと動作に組み込まれており、非常に高度な技術であることを確認した。また、これらの解析した動作、「型」をロボット動作に組み込むためのプラットフォームを開発した。
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