研究実績の概要 |
今後10 年,自律的な知能と感情を持つ,用途に合わせた各種協働ロボットが備わったスマートホームが当たり前になり,介護の一翼をも担うことになる.しかし,協働ロボットが利用者に受け入れられるようになるまでの時間と範囲を決定づける重要な要素があることが最近分かってきた(McKinsely Qtr, 2017).それは「信頼(Neurorobotic Trust)」である.信頼は,第一に協働ロボットが人と協働で行うタスクを確実に遂行できることによって確立される.しかし,人々は近年の自動運転車のようにAI 駆動のデバイスやシステムにより多くの任務を課すようになるが,共存のための信頼を築く上で鍵となるのは,単なる人型に留まらないロボットを生み出すことにある.人々は,心と心の結びつきを求めているのである.しかし,Siriや,Google Homeのような,音声ベースのAIアシスタントでは,それをベースにロボットを開発してもインタラクションから感情が読み取れず不十分なのである.調査の結果,利用者は, 協働ロボットにタスクを遂行してもらえると満足はするものの,利用者とのインタラクションから,目線,表情,しぐさ,動きからよりロボットのパーソナルな気持ちや感情が読み取れた時に喜び・信頼を感じる.このロボットインタラクションから感じる信頼をNeurorobotic Trustと呼ぶ.信頼を確立するためには,インタラクションを通じ人とつながり,関わりを深める必要がある.それは非常に困難で感情デザインが必要になる.文楽人形の感情動作をモーションキャプチャし,その動作をヒルベルトーファン変換により固有モード分解し,文楽3人遣いの共同作業の要と言える合図である「ホド」と「ズ」が、人形浄瑠璃の語りの序破急に埋め込まれていることを発見し、AI学習を試みた。
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