研究課題/領域番号 |
20K12526
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
植田 憲 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40344965)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | デザイン / 地域資源 / 地域振興 / 地方創生 / 文化財 / デジタル造形技術 / 歴史的造形資源 / 3D |
研究実績の概要 |
本研究は、地域社会が有する歴史的造形物を、当該地域の活性化の資源として活用するための方策を明確化することを目的としたものである。特に千葉県内に存在する歴史的造形資源について、その造形データを取得・保存するとともに、取得したデータを活用したデザイン実践を行いそのあり方を見出すことを目指している。 2020(令和2)年度にあっては、新型コロナウイルス感染症の蔓延により学内外の活動が大きく制限されるなか、主として千葉県内において歴史的造形資源のデータ取得に関する以下の作業を行った。 ・歴史的造形資源の3D造形データの取得:市原市埋蔵文化財調査センターと協力し、同センターに収蔵されている「泥めんこ」「貝の腕輪」、ならびに、同市大和田に位置する光厳寺の武志伊八郎信由作「波に龍」と同寺本堂内の3D記録とデータ構築を行った。光厳寺本堂内はフォトグラメトリーによる取得のみを行ったが、それ以外はフォトグラメトリーならびにハンディスキャナの両者により取得を行った。「波に龍」の3D取得は、現在無住寺となっている同寺において行ったため、当該地域の檀家らが集まり同造形資源に関する知恵が再認識されるとともに、同彫刻の制作年代が特定できる資料が発見されるなど、本取り組みを通して地域活性化に向けた社会の動きを創出することができた。 ・歴史的造形資源の2D造形データの取得・活用:伝統的染物工芸・万祝を制作する鴨川市に位置する工房「鈴染」と協働して、同工房が有する歴史的な型紙のデジタル化ならびに取得したデータ活用に基づく型紙切削・染色を行いその手順を見出した。 次年度は、上記データの多様な活用に基づき、地域活性化に資する有効な方策を見出していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記したように、2020(令和2)年度においては、新型コロナウイルス感染症の蔓延により学内外の活動が大きく制限されるなか、主として千葉県内において歴史的造形資源のデータ取得に関する作業を行った。 その結果、当初計画していた以上に研究協力者ならびに造形が存在する地域の生活者らからの反響が大きく、歴史的造形資源の2D/3Dデジタル造形データの取得そのものが地域活性化を促す活動につながり得ることが確認された。 次年度にあっては、引き続き、「歴史的造形資源の造形デジタルデータの取得」ならびに「歴史的造形資源のデジタルデータの利活用を含めた利点の明確化」「歴史的造形資源のデジタルデータの特質に基づく整理とアーカイブの作成」について進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2021(令和3)年度にあっては、2020(令和2)年度に引き続き「歴史的造形資源の造形デジタルデータの取得」を行うとともに、「歴史的造形資源のデジタルデータの利活用を含めた利点の明確化」「歴史的造形資源のデジタルデータの特質に基づく整理とアーカイブの作成」について進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、おおむね順調に進展しているものの、2020(令和2)年度にあっては、2019(令和元)年度末に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延のため、感染防止の観点から、いくつかの活動の規模を縮小せざるを得ない状況に置かれた。それゆえ、次年度使用額が発生したが、新型コロナウイルス感染症の感染が一定程度治まった時点でリカバーしていくこととしたい。
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