研究課題/領域番号 |
20K12529
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
鈴木 あるの 京都橘大学, 工学部, 教授 (20467442)
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研究分担者 |
妹尾 理子 文教大学, 教育学部, 教授 (20405096)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 住居学 / アメリカ / ヨーロッパ / リベラルアーツ / 建築史 / 実践系科目 / 学際科目 / テキスト分析 |
研究実績の概要 |
日本の大学における教育実践とそれに対する学生からのフィードバックのテキスト分析結果を、ヨーロッパ建築教育学会(2023年9月イタリア・トリノ工科大学建築学部にて開催)にて発表し、審査にあたったアメリカ建築教育学会(ACSA)の会員らからも重要な研究であると講評を得た。また同内容の論文はダブルブラインドの査読を経て選抜論文集に採択が決定し、現在発行待ちである。国際学会における議論を通じて、欧米の大学では以前より人文系の教養科目としての建築系科目提供が行われてきたことがわかり、それに関する文献を収集して調べたところ、1960年頃から建築史や建築美学といった人文系の座学科目提供への挑戦が始まったことがわかった。最近では専攻外の学生も含めてのスタジオワークや実践科目系、学際グループワークなどの科目へと移行していること、また単体の建築というよりも都市デザインや環境デザインに関する領域での科目提供が存在することがわかった。2024年4月にもアメリカ大学協会の教養教育研究大会にて発表を行なった。発表内容は2023年のものとほぼ同じであったが、聴衆が前回の建築系教員とは異なり、他分野の教育者および教養教育改革に携わっている大学運営者らであったため、全く別の角度から議論を深めることができた。また学会発表の後にアメリカのいくつかの大学の建築系学部を訪問し、専攻外学生を受け入れているプログラム担当の教職員からの情報収集および意見交換を行うこともできた。
教員養成系大学の住居学またはそれに相当する科目のシラバス収集が完了した。教員養成系以外の大学については、引き続き情報収集中であるが、数は非常に少ない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際学会発表の採択が続いたため、研究成果の発表を通じて国内外の研究者や大学運営者との情報交換の機会を得、本課題のテーマが国内外を問わず重要なものであるという確信も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
海外における建築および都市デザイン系科目の専攻外への提供状況に関する情報を文献や資料を通じて収集し、報告書にまとめる(一部は2024年度4月より着手している)。国内の教員養成系以外の大学における建築系科目の教養科目としての提供状況を引き続き調べる。極めて数が限られているが、無いのであれば無いということを確認する。学生からのフィードバックのテキスト分析を引き続き行い、年度ごとの差異があるか比較する。(代表者) 女子大学の家政系における住居系科目は、工学部等の建築系科目よりもより一般消費者向けの内容が多く含まれているので、それらについて歴史も含めて調査する。(分担者) 教員養成系大学の住居学科目の内容について、その傾向および動向をまとめる。現状では子どもたちという将来の生活者が住まいに関して総合的に学ぶ機会は小中高の家庭科にあると考えられるため、家庭科教員養成での住教育の充実は不可欠と考える。そこでシラバス分析と並行し、家庭科教員養成において必修科目である「住居学」の内容について構想しテキスト作成を進めている。これは生活者に育むべき住リテラシーの内容整理にもなると考える。(分担者)
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題の研究期間の当初2年間は新型コロナ感染流行のせいで国際学会発表が延期または中止され、国内外の調査出張もできなかった。そのため、それらの研究を2022年度以降に行うこととなり、温存しておいた予算を予定よりも遅れて使用している状況である。
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