研究課題/領域番号 |
20K12533
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平井 康之 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (10336084)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 行政 / デザイン思考 / サービスデザイン |
研究実績の概要 |
本研究は、市民視点からの地方行政サービス改革(BPR)に関するデザイン研究である。市民が直面する行政の課題を、行政側の業務にどうつなげるか、デザイン学の観点から現状を調査し、社会実験を行うことで、行政サービス改革に必要な要件を明らかにすることを目的とする。 具体的には業務の中でも、多部署に渡り複雑でわかりづらい子育て支援業務に焦点を当て、以下の3領域で、デザイン思考を応用した社会実験による実証的な開発と検証を行う。1)市民側領域:多様な市民が理解しやすい包括的なサービス一覧マップと、外部専門家を包括する共創ネットワークによって構成される共創プラットフォームの構築。2)行政側組織領域:現状の行政業務の重複や未着手業務を明確にし、窓口業務を一元化する柔軟な組織横断プロセスの構築。3)行政側人材領域:デザイン思考を行政向けに分析し、日々の業務で実践可能な横断型業務スキル、課題発見型スキルを育成する人材育成プログラムの開発。令和2年度は、調査フィールドとして、令和元年SDGs未来都市に選ばれた福津市の協力を得て進めた。「子ども・子育て支援事業計画」に沿った要件を市民視点で提供するには、どのように行政側が情報発信や社会的しくみを構築する必要があるのかについて、福津市職員との打ち合わせを行った。その打ち合わせによって福津市市民のライフジャーニー視点による子育てサービスマップの実現化を推進した。9月29日には座談会形式で、福津市職員、福津市内の12の子育てサロン代表者と九州大学関係者で、現状の課題についてのヒアリングと、サービスマップについてのディスカッションを行った。そして令和2年1月の子育て世代包括支援センター開所に合わせて子育てサービスマップを準備し、発行した。 また並行して先進事例であるヘルシンキ市の行政組織であるヘルシンキデザインラボの調査を、ヘルシンキ在住の研究協力者に依頼し行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初令和2年度に実現予定であった子育てサービスマップを実現することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進には、子育てサービスマップを始点として、市民への情報発信方法と、それを支える行政側のサービスデザインのあり方について全体的な取り組みが必要である。そのため令和3年度も福津市側と研究の継続を確認した。合わせて同じ医療体制を共有する隣接する古賀市、宗像市との情報交流も進めることで、さらに普遍的なサービスのあり方について抽出する予定である。 以上の内容から、上記の方向性に貢献できるように、令和2年度に蓄積された研究成果をもとに継続することを方策とする。
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