研究課題/領域番号 |
20K12544
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
平口 希世子 (鳥海希世子) 昭和女子大学, 環境デザイン学部, 講師 (80866640)
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研究分担者 |
河 キョンジン 広島市立大学, 付置研究所, 准教授 (10754442)
宮田 雅子 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 教授 (20431976)
JUNG JooーYoung 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (40552336)
土屋 祐子 桃山学院大学, 国際教養学部, 准教授 (80458942)
林田 真心子 福岡女学院大学, 人文学部, 准教授 (80624212)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メディア / コミュニティ / 地域社会 / 調査 / 実践 / デザイン |
研究実績の概要 |
本研究における3つの柱(①調査研究、②実践研究、③「実践的メディア研究」の理論化)のうち、2021年度には①調査研究にあたるオンラインサーベイの実施および分析、また②実践研究にあたるワークショップの実施を中心におこなった。
調査研究として、2021年5月に宮城・東京・愛知・大阪・広島・福岡の6都府県を対象に、オンライン上でのアンケートを実施した。「地域の暮らしとコロナ禍におけるメディア利用」をテーマに、サーベイ会社を通じて計3,002の回答を得た。6都府県の特徴が浮かび上がったが、特に実践研究につながる結果として20代の「地域」に対するイメージのなさ、境の曖昧さ(「市区町村による情報」と「都道府県による情報」に対する意識にあまり差が見られない)が挙げられる。調査結果については、今後より詳しい分析・考察を実施するが、この結果などに着目し、若者がどのように「地域」を捉え、感じているか、またそこに「地域との関わり」がどのように生まれ得るかを、実践研究としてのワークショップのテーマとした。
ワークショップは、2021年11月6日に福岡から東京までの6大学の学生12名を対象に、ZOOMを活用した2時間程度のオンラインワークショップとして実施した。準備から実施まで、全てのやりとりをオンライン上でおこない、当日はグラフィックファシリテーションの専門家にも参加してもらい、対話のサポートと記録をおこなった。ワークショップでは、コロナ禍によって気づかされた「地域」の存在や、日常のなかでふと感じられる「地域との関わり」が語られ、個々人の地域社会における暮らしのなかの「当たり前」を共有し、その違いや共通点に意識的になることから、参加者が多くの発見や気づきを得るようすが見受けられた。ワークショップの分析・考察も更に進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、2021年度の後半より調査研究の結果を受けるかたちで実践研究を開始させるスケジュールを立てていた。概ねその通りに進んでいるが、コロナ禍により完全オンライン形式によるワークショップとなり、当初計画していた特定の地域コミュニティにおける対面での実践がおこなえていないため、「やや遅れている」とした。また、当初の予定からはやや遅れたが、2021年度末には研究プロジェクトのウェブサイトを公開した(https://comep.site)。
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今後の研究の推進方策 |
ワークショップ等の社会連携プロジェクトを実践研究として実施するフィールドが、当初計画していた広島より変更を余儀なくされていたが、その地域を長野県諏訪郡富士見町と決定し、2022年度初めより富士見町に住む住民からの協力も得つつフィールド調査を開始している。富士見町は、コロナ禍以前より「テレワークタウン」を構想し、現在移住者が急増している地域として知られている。古くから居住する地元の人びとと移住者による新たなコミュニティが形成されている場所であり、その特徴を知るためにも実践研究を急ぎすぎず、丹念にフィールド調査を重ねる必要があると考えている。場合によっては、再度アンケート調査も実施する。そのうえで、富士見町の歴史と現在、そして未来結びつけるような、また移住者も含むさまざまな立場の人たちが連携し合うような実践プロジェクトを考案し、富士見町の人たちにもフィードバックを頂きながら実施していきたいと考えている。今年度中にプレ実践をおこない、2023年度に本格化できればと計画中である。 また、「実践的メディア研究」の理論化については、毎月実施している打ち合わせにて議論をおこなっている。また、2022年6月には日本デザイン学会での発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度および2021年度に予定していた旅費が全て使用できなかったこと、また研究プロジェクトのウェブサイトの完成がやや遅れ、支払いが来年度に持ち越されたため。2022年度では、実践研究につなげるためのフィールド調査や打ち合わせ、実践の実施、また研究メンバーの対面でのミーティングをはじめ、旅費の使用を開始する。
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