研究課題/領域番号 |
20K12545
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安田 孝美 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (60183977)
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研究分担者 |
浦田 真由 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (70634947)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 画像認識技術 / 観光施策 / 観光客属性 / データ分析 / データ利活用 / AIカメラ / 観光まちづくり |
研究実績の概要 |
本研究は、飛騨高山の観光地に画像認識技術(画像による人物像分析システムおよび車両ナンバー認識システム)を応用し、観光客の属性データを収集・分析し、分析結果を市の観光課や地元観光事業者等に活用してもらうためのアプリケーションを開発することで、データ分析に基づく観光マーケティングを実践できるようにすることを目的としている。2021年度は、飛騨市および高山市を対象に「観光まちづくり」の視点を取り入れ、産官学連携による共同研究として主に「画像認識システムログデータの収集・分析と可視化」に取り組んだ。 (1)飛騨市における観光施策のためのデータ利活用 車両ナンバー認識システムのログデータから得られる分析結果は観光統計として活用された他、高山市の駐車場データと連携した分析についても、共同研究の一環として実施した。また、SNSデータの分析および活用を提案し、職員向けSNS勉強会等を実施することで、観光施策へ向けたデータ利活用の取り組みを実施した。 (2)高山市における観光まちづくりのためのデータ利活用 前年度に、開発したAIカメラ(カメラ画像による人数・台数カウントシステム)の有用性を確認できたため、商店街を中心とした市内9箇所に設置した。2021年度末時点で、合計13箇所にカメラを設置し、データ収集を実施している。収集したデータは、来訪者数の分析の他、混雑度可視化や通行経路等の分析を行い、市の施策に活用できる方法を検討した。また、商店街や地元関係者向けワークショップを開催し、収集したデータの活用方法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、活動にやや影響が出たものの、2021年度は、現地へのヒアリング等を複数回実施し、画像認識システムの数を増やすなど、面的なデータ収集を行うことが可能となり、当初の計画以上に進展している。2021年度に取り組んだ結果については、複数の学会発表や学術論文への投稿を行い、成果を発表している。 また、飛騨市では、職員向け勉強会や市長を含めた報告会を実施し、新聞やテレビ等のメディアで取り組みが紹介された。高山市においても、ワークショップや実証実験の様子が、新聞等のメディアで複数回紹介された他、データ利活用関係のコンテストにも参加し、優秀賞を受賞している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、収集されたデータを「観光まちづくり」のために活用する方法について検討する。画像認識システムで収集されたデータは、クラウドサービス上に蓄積しているが、これらのデータとその他、オープンデータ等も活用し、地元に役立つデータ利活用を実践する。 ワークショップを開催し、分析結果を地元の関係者と共有すると共に、今後の活用についての意見交換も行うことで、まちづくりのためのデータ利活用モデルを構築していく。また、得られたデータについては、非識別加工処理を実施した上で公開し、関係者が分析結果を活用できるようにする。 また、リアルタイムでの分析結果の公開についても検討を進め、分析結果を分かりやすく商店や地元の方に伝えるための、可視化方法についても検討するなど、「観光まちづくり」のためのデータ利活用モデルを構築していきたい。
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