研究課題/領域番号 |
20K12551
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
浅井 亮子 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (40461743)
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研究分担者 |
村田 潔 明治大学, 商学部, 専任教授 (70229988)
折戸 洋子 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (70409423)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ソーシャルロボット / ケア / AI / 倫理 / サイボーグ / ジェンダー |
研究実績の概要 |
2022年度は2020年度から続いていた新型コロナ感染症によるパンデミックの規制が日本を含め世界的に徐々に緩和されたことを受けて、本研究課題に関わる活動に関わる人々と対面でコミュニケーションを取りながら研究活動を実施することに注力した。あわせて本研究課題の研究活動期間終了後も本研究課題を発展させた研究課題を継続させるための、今後の研究活動を見据えた取り組みも積極的に展開した。 現地調査として実施した研究活動としては、本研究課題の課題であるソーシャルロボットやデジタル技術を日常生活でケアを必要とする人々が自宅や施設などのケアにおいて、どのように活用しているかのインタビュー調査を実施した。またあわせて、コミュニティや自宅でのケアを公的に支えまた支出や責任も負う地方自治体の管轄部署の責任者やケア施設担当者及び責任者にもインタビュー調査を実施することができた。 またこれら調査結果やこれまでの研究による知見を生かし、各種の学術雑誌や国際会議等で本研究課題の研究成果を報告することも積極的に進めた。具体的には、本研究代表やおよび研究分担者2名で出版された英語論文6本ならびに日本語論文1本、研究成果報告は国際会議5本ならびに日本での学会発表及び講演2本となっている。新型コロナウィルスによるパンデミックの影響もあり、オンラインでの国際会議発表となったものが多いが、年間の計画以上の研究成果とその公表を行うことができた。 さらに本研究課題を今後発展させるための準備も研究成果報告とともに進め、本研究課題をもとにする研究プロジェクトのスタートアップ助成に応募するとともに、海外研究者とのネットワークを活かし本研究課題を発展させた後継の研究課題のための国際的な研究助成プログラムへの申請にも着手した。全体として研究活動での機動性も上がり、非常に充実した研究ができた研究年度にすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は2020年度から続いていた新型コロナウィルス感染症によるパンデミックの影響を未だ受けつつも、移動や日常生活に関わる規制が少しずつ緩和された時期に位置付けられる。そのため、年度の初めはやはり地理的な移動を必要とする研究活動はかなり制限されるとともに、とりわけケアを必要とする人々(子ども、障害者や高齢者)とソーシャルロボットやデジタル技術の利用の様子を現場で調査することは憚られた。そのためインターネットを活用しての各種関係者に対するインタビュー調査を中心に実施した。これは当初の計画よりも多くの人々に話を聞くことができ、本研究課題の後継課題を計画す流ために非常に重要かつ不可欠なものとなった。またその調査をきっかけとして構築した自治体やヘルスケア企業とのネットワークも本研究ならびに今後の研究活動にとって不可欠なものとなった。 一方で研究計画に記載してある現地での調査は、2022年度の秋以降に新型コロナウィルス感染症に対する規制が日本に比べ緩和されているスウェーデンにて実施した。実際にスウェーデンのウプサラ県にあるいくつかのケア施設を訪問し、インタビュー調査とそこでのデジタル技術の活用状況の調査を行った。この調査には、現場の責任者、地域の責任者、実際にケア施設に入所しているケアを必要とする人たちから協力を得ることができた。本調査の結果に関しては、来年度以降の研究成果として論文や国際会議での研究成果報告に反映させるものとする。 こうした状況から申請当初に計画していたタイムライン通りでの研究活動の実施には多少の相違が出ているが、計画予定していた研究および調査活動は実施することができ、そこからの調査結果も得ることができた。2022年度に実施した研究活動および出版公表された研究成果の本数を総合的に鑑みて、本研究はコロナ禍の影響を受けながらも概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は新型コロナウィルス感染症によるパンデミックのために実際にソーシャルロボットを使用した子どもたちへの実験の実施が困難となったことを受けて、ソーシャルロボットや新興のデジタル技術を活用したケア(チャイルドケア、障害者ケア、高齢者ケア)をも調査対象としならが、本研究課題実施期間中の研究活動を行ってきた。ケアを必要とする人々に研究のスコープを向けることによって、研究活動の幅が非常に広がり、パンデミックの規制がある中でもある程度の計画に沿った研究活動を実施することができる状況を作ることができた。現地調査は時にオンライン調査に置き換える、調査地域を規制が比較的緩和されている場所に変更するなど、臨機応変な対応を取ることが必要とされた。 今後は移動や人々への接触に関わる規制がより緩和されることから、これまでの研究期間の調査結果や研究成果をより補完しながら、そこからの知見をさらに深めることができるような補完的調査研究活動を残りの期間を使い実施する予定でいる。また本研究課題のための活動を後継するための新たな研究プロジェクトを構築するための準備も同時に行う予定である。そのための研究助成の応募への準備も進めることを計画している。 本研究課題を残りの期間で進めるための課題としては、調査実施のための移動や人ととの接触などに際して発生しうるリスクをいかに抑制し、対面での調査活動に協力してもらえる人たちとの信頼関係を構築することにある。そのため、インターネットを介したコミュニケーションを定期的に図り、自治体や企業の担当者とも継続的なコミュニケーションを取ることをこれまでの年度と同じく続けていくことで対応する。またインタビュー調査を質問票によるアンケート調査に置き換えるなど状況を見ながら臨機応変に対応し、次年度は最終年度として研究活動の総括ができるような研究活動を展開する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度から続く新型コロナウィルス感染症によるパンデミックの影響から、当初予定していた現地調査の実施や国内学会・国際会議への現地での出席が叶わず、オンラインでの研究報告および参加に切り替えられたため、出張旅費が抑えられ、またオンライン参加の際の国際会議への参加費用も現地参加のための参加費よりも金額が低くなるため、差額が生じている。また当初計画していた対面でのソーシャルロボットを使った低年齢の子どもたちに対する調査の実施が子どもたちへの感染リスクを考慮し、計画通りの実施が難しくなったため、調査対象者と調査方法を修正したためそれによる支出が計画よりも低く抑えられたことに起因する差額も生じている。 次年度は、パンデミックにともなう規制の緩和が予想されることから、十分に社会的な状況に配慮しながらも、これまでの研究実施年度では難しかった国内学会や国際学会での成果報告を現地にて積極的に展開する。またあわせて、現地調査も前年度および本年度よりも多くの回数を実施し、定期的な訪問による現地調査のフォローアップと現地調査協力者とのコミュニケーションの維持に努める計画である。それらの活動により今回生じた差額分は解消される予定である。
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