研究実績の概要 |
本研究では,知的基盤であるレファレンス情報源の生産というプロセスにおいて,誰がどのような役割をどのようにして担っているか,現在どのような課題を抱えているかを明らかにすること,レファレンス情報源の役割がどのように変わろうとしているのかを検討することを目的としている。 2021年度は,レファレンス情報源の書誌データを得てその出版傾向を分析するために,前年度に国立国会図書館よりxml形式で入手したすべての所蔵資料の書誌データから,1950年以降に日本語で出版された和図書315万7,856点を抽出した。さらに,書誌データに含まれる要素を用いてレファレンスブックにあたる図書を特定するための方法や,可能な範囲を検討した。その結果,特定の種類のレファレンスブックを抽出するためには,件名には国立国会図書館件名標目表(以下NDLSH)を,分類には国立国会図書館分類表(以下NDLC)を使用することした。書誌データの要素として,特定の件名標目あるいは分類記号が付与された図書を抽出するためには,RDFの“dcterms:subject”とその値を用いた。 レファレンスブックの種類には,NDLSHの一般細目として,辞書,索引,書目,年表,用語を使用し,それぞれ15,887点,1,937点,21,268点,1,555点,16,848点のレファレンスブックの書誌データを取得した。NDLCの分類記号として,各主題の下位階層の書誌にあたる分類記号(A111等),辞典・便覧類にあたる分類記号(A112等),日本語百科事典にあたる分類記号UR1を使用した。それぞれ18,504点,15,945点,1,291点のレファレンスブックの書誌データを取得した。これらのレファレンスブックの種類ごとの出版点数と,書誌データに含まれる要素である主題や出版者ごとの集計を行い,調査期間中の出版傾向を明らかにした。
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