研究課題/領域番号 |
20K12573
|
研究機関 | 福岡国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
飛松 省三 福岡国際医療福祉大学, 医療学部, 教授 (40164008)
|
研究分担者 |
後藤 純信 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (30336028)
山田 絵美 九州大学, 人文科学研究院, 助教 (60737310)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 弱視 / 視覚機能 / 可塑性 / 多モダリティー視覚刺激 |
研究実績の概要 |
【研究目的】二次元から三次元を創り出す脳には両眼からの正しい視覚情報が必要である。感受性期に両眼からの情報が競合することで、立体視が成立する。視覚の発達期に視性刺激遮断ないし異常な両眼相互作用により、弱視が起こる。片眼弱視の治療が成功した例で、非弱視眼の視力が1.0にも関わらず視覚誘発電位(VEP)の異常が報告されている。治療としての健眼遮蔽でこのような現象がなぜ起こるのかは不明である。ヒトの視覚情報は、小細胞系(P系)と大細胞系(M系)で処理される。P系は物の形や輪郭、色の情報を伝え、M系は物の位置、動き、立体視に重要である。P系とM系を選択的に刺激する視覚刺激を用いた弱視のVEP研究はほとんどない。弱視と視覚神経ネットワークの可塑性にはP系が関与するという仮説を立て、申請者らが開発した多モダリティVEPで検証する。 【研究計画の実施状況】当大学に4月より赴任したため、研究室のインフラ整備をまず行った。誘発脳波計は、大学に常設してあるニューロパックを使用することにし、関係者の了解を得た。次に、多モダリティーVEPの視覚刺激作成のためにビデオボードを追加できるパソコン(PC)と高精細な液晶ディスプレイを購入した。次いで、共同研究者により視覚刺激呈示ソフトをPCにインストールした。特殊なオプティックフロー刺激ソフトは九州計測装置に外部委託し、5月末までに納入される予定である。また、視覚刺激装置とニューロパックをつなぐマルチインターフェースボックスも5月末までに納入される予定である。インフラ整備はほぼ終わったが、コロナ禍のため、被検者を対象とした多モダリティー視覚誘発電位の記録は行えなかった。コロナ感染の状況をみながら、正常被検者のデータ収集を行って行く予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
① 当大学に4月より赴任したため、研究室のインフラ整備をまず行う必要があり、そこに注力した。まず、誘発脳波計は、大学に常設してあるニューロパックを使用することにし、関係者の了解を得た。暗室も必要なので、大学に整備してもらった。 ② 多モダリティーVEPの視覚刺激作成のためにビデオボードを追加できるパソコン(PC)と高精細な液晶ディスプレイを購入する必要があった。特注のため、購入に2ヶ月を要した。 ③ 特殊なオプティックフロー刺激ソフト作成は、共同研究者のスキルでは難しく外部委託をせざるを得なかった。次年度の5月末までに完成予定である。 ④ インフラ整備はほぼ終わったが、コロナ禍のため、被検者(健常若年成人、弱視患者)を対象とした多モダリティーVEPの記録が行えなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
① 研究室のインフラ整備(視覚刺激装置、誘発脳波計、多モダリティ視覚刺激ソフトなど)は2021年5月末までに終了するので、今後は円滑な研究計画の実行が図れると思われる。 ② 特殊なオプティックフロー刺激ソフトは2021年5月末までに納入されるので、円滑な多モダリティーVEP実験が可能となる。 ③ コロナ禍のため、被検者を対象とした多モダリティー視覚誘発電位の記録が行えなかった。コロナの感染状況を見ながら、対応して行く予定である。まずは、PCR検査を行って陰性と判断された本学学生を対象として正常データを収集して行く。弱視患者に関しては、見通しがついていない厳しい状況である。ワクチン接種により事情は好転すると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
VEP実験が行えなかったので、被検者への謝金が生じなかった。そのため、繰り越しを行った。次年度はVEP実験を行えるので、本年度の繰越金を使う予定である。
|