本研究では、法医学的に、縊頸(首吊り、自殺・他殺を含める)による頸部圧迫が死因であった症例の死後CTについて研究を行いました。頸部のどの高さに頸部圧迫の痕(索溝、索条痕)が多く生じて、舌骨や甲状軟骨[喉仏(喉頭隆起)を形成する軟骨]のどの部分が骨折しやすいのか、さらに、死後CTによって明らかにできるのはどのような骨折であるのか調べました。 結果、索溝が頸部の正中(体の真ん中)において、甲状軟骨の喉頭隆起よりも頭側(上側)に位置することが多く、直径数mmの甲状軟骨上角部が前方に変形した骨折を生じていました。このような骨折を明らかにするには、頸部を後屈させるなど撮影方法が必要と分かりました。
|