リンパ浮腫において,脂肪組織を構成する脂肪細胞の肥大化および線維化がおこると考えられるものの,そのメカニズムは明らかになっていない.そこで本研究では,脂肪酸が脂肪細胞の脂肪蓄積およびコラーゲン分泌に及ぼす影響を明らかにすることを試みた.その結果,脂肪酸の高濃度化は脂肪蓄積量の増加および脂肪滴の肥大化を引き起こし,リンパ浮腫による脂肪組織の肥大化を促進する可能性が示された.また,脂肪酸の高濃度化はコラーゲン量の増加を引き起こし,脂肪細胞へ分化中の前駆脂肪細胞のコラーゲン構造を変化させることで,脂肪組織の線維化を促進することが示唆された.
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