研究課題/領域番号 |
20K12604
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
原田 義規 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10381956)
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研究分担者 |
望月 健太郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50868768)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自家蛍光 / 腫瘍 / イメージング / 消化管 |
研究実績の概要 |
消化管腫瘍の診断に内視鏡検査は必須だが、その検出感度には限界がある。それを補うものとして自家蛍光内視鏡が臨床で使用されている。しかし、現在使われている自家蛍光内視鏡は、腫瘍が発生する粘膜上皮の自家蛍光ではなくて、粘膜下層コラーゲンの自家蛍光を利用することで“間接的に”腫瘍を検出する。そのため偽陽性率が高いことは自家蛍光内視鏡の大きな課題である。 消化管組織は、コラーゲンの他に、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)など代謝に関連する自家蛍光物質を含む(Curr Pharm Biotechnol 2013;14:172-9)。 NADHは腫瘍が発生する粘膜上皮細胞に含まれ、その蛍光強度は細胞が低酸素状態に陥ると上昇する。癌組織はその発生初期から微小循環動態の欠陥により低酸素状態にあるため、NADH自家蛍光は非癌組織に比し上昇すると考えられ、これを利用すると消化管腫瘍を描出可能である(Gastrointest Endosc 2012;75:110-7, Acta Histochem Cytochem 2014;47:247-54)。しかし、消化管組織の詳細な自家蛍光発生機序は未だ不明で、最適な励起・蛍光波長セットは抽出できているとはいえない。本研究では新たな自家蛍光イメージング法の基礎技術を開発することを目的としている。 本年度は、蛍光イメージングシステムの改築、ラット組織のイメージング画像取得を行った。既存の蛍光イメージングシステムをベースに改築を行ったが、経年劣化が見られ、来年度以降に更なる改築を試みる予定である。ex vivoにおいて、ラット消化器組織の光イメージング測定を行い、退色の影響等、測定条件を検討した。また、培養細胞を用いて自家蛍光に影響を与える因子についても検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既存の蛍光イメージングシステムの改築を行ったが、経年劣化が見られ、スペクトル解析に支障をきたしている。来年度以降に更なる改築を試み、正確なスペクトル画像を取得する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ラット消化管組織(正常/腫瘍)の自家蛍光スペクトル・局在をex vivoで測定する。アゾキシメタン誘発消化管腫瘍モデルを用いる。来年度以降に蛍光イメージングシステムの更なる改築を試みる予定であるが、スペクトル画像取得に関して、学外の研究者と共同研究を行うことも検討する。腫瘍/非腫瘍の自家蛍光スペクトル画像を引き続き測定し、機械学習であるランダムフォレストや相互情報量解析(mutual information analysis)等を用いて自家蛍光情報を解析し、最適な励起・蛍光波長の組み合わせを抽出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における研究環境の悪化、測定機器の不具合もあり、研究進捗がやや遅れている。研究分担者 望月健太郎が使用する研究経費が、次年度使用額に概ね相当する。自家蛍光取得実験を行うための試薬に充てる予定である。
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