研究課題/領域番号 |
20K12607
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
川原 靖弘 放送大学, 教養学部, 准教授 (10422403)
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研究分担者 |
片桐 祥雅 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 上席研究員 (60462876)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨伝導 / 超広帯域音 / 脳機能 |
研究実績の概要 |
本研究では、聴覚でもなく体性感覚でもない骨伝導を利用した超広帯域音響の脳内伝搬により、脳深部が活性化されることを検証する。脳深部への骨伝導による音波伝搬状況のシミュレーションを行い、超広帯域音響により脳深部が活性化する効果を実験協力者の協力により確かめる。そのために、脳幹部に効率的に音波を伝達させるための音波トランスデューサの頭部装着方法と音の音響特性について、音波伝搬の推定と脳深部活動の測定により、最適解を導く。また、本手法による脳深部神経の賦活を測定し、深部脳を活性化させる効果があることを確認することで、脳幹部への超広帯域音響(振動)刺激の入力による深部脳賦活の可能性を示し、日常生活で利用できる健康増進装置としての応用について考察する。 超広帯域音響の頭部骨伝導による深部脳活性を確認するため、30kHzを中心とした帯域の超音波を頭部に接触させたトランスデューサを用いて発生させ、後頭部の脳波α2帯域パワーの変化を計測した。後頭部の脳波α2帯域パワー超音波の発生時は増大傾向にあり、超音波の発生が終わると減少する傾向があった。この手法による超音波導入により深部脳の活性を示唆する結果が、複数人の研究協力者による再現性が認められれば、日常的に利用できる深部脳活性補助にこのような手法による装置が利用可能になる期待が持てる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超広帯域音響の頭部骨伝導による深部脳活性を確認するため、30kHzを中心とした帯域の超音波を頭部に接触させたトランスデューサを用いて発生させ、後頭部の脳波α2帯域パワーの変化を計測した。後頭部の脳波α2帯域パワー超音波の発生時は増大傾向にあり、超音波の発生が終わると減少する傾向があることを確認した。 新型コロナパンデミックに関連し、複数の研究協力者による生体計測が実現できず、限られた人による計測結果のみをもとに、研究を進めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
実験協力者による脳機能計測により、骨伝導による超広帯域音の深部脳到達が、深部脳を賦活させることを確かめる。超広帯域音響の骨伝導入力による深部脳賦活は、実験協力者の脳機能計測により検証を行う。空中伝搬による超広帯域音響による深部脳賦活効果との比較、骨伝導による超広帯域音と非可聴高周波音との効果を比較し、脳幹部への特定帯域音波(振動)の直接入力により深部脳賦活が生じることを確認し、どの帯域の音の物理的な振動の脳幹部入力への付加が神経細胞の賦活を引き起こす可能性があるのか、考察を行う。また、骨伝導状況の推定により、トランスデューサの装着位置及び装着方法の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナパンデミックと関連し、研究協力者による生体測定を十分にできなかったことにより、計測に必要な消耗品や謝金の支出がされなかった。また、並行して行う骨伝導状況の推定が十分にできず、解析ソフトなどの導入で未購入なものがある。 これに関し、研究が進捗できる状況になり次第、必要物品の購入を行い、当初の予定通り研究を遂行する。
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