本研究では、聴覚でもなく体性感覚でもない骨伝導を活用した,非可聴域高周波を含む超広帯域音響の頭部入力による深部脳活性の効果について,深部脳活性指標とされている脳波帯域パワー解析手法を用いて検証を行った.脳深部への骨伝導による超広帯域音響の音波伝搬により脳深部が活性化する効果を実験協力者の協力により確かめた。脳幹部に効率的に音波を伝達させるための音波トランスデューサを使用し、脳深部神経の賦活を測定し、深部脳を活性化させる効果があることを確認することで、脳幹部への超広帯域音響(振動)刺激の入力による深部脳賦活の可能性を示し、日常生活で利用できる健康増進装置としての応用について考察する。超広帯域音響の頭部骨伝導による深部脳活性を確認するため、可聴帯域から100kHz帯域の超音波の発生も可能な頭部に接触させることができる慶所のトランスデューサを用い、側頭部から入力する骨伝導刺激により数種の帯域の超広帯域音響の提示と同時に脳波の計測を行った。このトランスデューサを頭部に装着する仕様の広帯域音提示装置の音響提示開始後及び音響提示終了後の、後頭部の脳波α2帯域パワーに着目することにより深部脳活性の観点から考察を行った。脳波α2帯域パワーは、音波の提示数秒後から徐々に増大し音の提示数秒後からこの増大が止まる傾向があることを確認した。音響提示開始にこの脳波帯域のパワーを増大させる傾向があり音響提示終了後に同大を停止させる傾向は、ガンマ波帯域音及び30kHzを中心とした帯域の超音波、非可聴高周波帯域を含む自然音それぞれにおいて観察された。
|