研究課題/領域番号 |
20K12610
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
杉本 康弘 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00319039)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 結石破砕 / パルスレーザ誘起気泡 / 温度計測 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は尿路結石症の治療を対象とした経尿道的結石破砕術(Transurethral Lithotripsy:以後TUL)の安全かつ高効率的な破砕条件を提示し,患者および医師の負担軽減を目指すものである.TULは内視鏡で結石を確認しながら,パルスレーザを光ファイバを介し照射して結石を破砕する治療法である.体内でのレーザ使用による危険性を把握するとともに効果的な衝撃を結石に作用させることで目的を達成できると考える.具体的には、課題1:比較的狭い空間におけるレーザ誘起気泡による圧力場が生体組織模擬軟質壁の挙動に及ぼす影響の解明、課題2:気泡まわりの温度場の把握と軟質壁および気泡挙動への影響の解明、課題3:気泡挙動によって誘起される圧力場および流れ場が結石挙動へ及ぼす力学的作用の解明といった3つの基礎研究課題に取り組んでいる. 初年次には課題1の比較的狭い領域におけるやわらかいチューブ内の気泡挙動について明らかにした.また,2年目にかけて取り組んだレーザ誘起気泡の衝撃と誘起される流れ場,さらに,それによって誘起される模擬結石の挙動について明らかにし,キャビテーションに関する国際会議で発表できた. 課題2に関してはレーザ照射方向に対して垂直な1次元方向だけではあるが,温度分布の計測を行うとともに,CEM43℃という生体組織への熱影響を評価するパラメータを用いて,熱傷の可能性を評価した.この成果は混相流シンポジウムで発表すると同時に,雑誌混相流に論文投稿し掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザ誘起気泡挙動によって誘起される模擬結石の干渉挙動を明らかにできた.また,CEM43℃を用いることで生体組織への影響を1方向ではあるが評価できた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は気泡まわりの温度分布を1次元ではなく,多点計測で2次元的および空間的に把握し,レーザ誘起気泡まわりの熱傷の可能性のある範囲を明確にする.また最終年度であるため,得られた情報をもとに,TULにおける安全性向上のためのレーザ照射条件を提示したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により、学会のための旅費相当分が余ったが、おおむね問題ないと考える。
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