研究課題/領域番号 |
20K12618
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
澤山 淳 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (30580592)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ハイドロゲル / 蛍光測定 / バイオセンサー |
研究実績の概要 |
当該年度は、R2年度にコロナ感染症の影響で合成が困難であった「研究項目①:オリゴDNAペアと色素の組成の最適化」と、「研究項目②:ゲルへの固定化法の確立」を中心に実施した。新たな蛍光色素の合成し、ハイドロゲル中への蛍光色素の固定化方法について検討した。ハイドロゲルセンサにインスリンを添加して、インスリン応答性と蛍光強度を評価した。しかし、新規に合成した蛍光色素では、その溶解性や結合の不安定性などの原因となり、これまでに合成していた蛍光色素に比べ、ゲルへの固定化が困難であったり、インスリン応答性が低かったりした。以上より、R2年度に検討した骨格を有する蛍光色素が本システムには適していることがわかった。また、ハイドロゲルにおいても、PEG系のゲル中に固定化する事が、安定してハイドロゲル中にアプタマーと蛍光色素を固定化でき、感度が高く、繰り返しのヒステリシスも小さい事が明らかになった。以上の結果に基づき、ハイドロゲルインスリンセンサーの基本組成を決定した。また、R2年度に高感度化した蛍光測定デバイスについても改良した。これまでのデバイスでは励起光の蛍光への漏れ込みにより、バックグラウンドが上昇してしまっていたが、漏れ込みを少なくするためにデバイスの光路を最適化、干渉フィルターの導入などによって、S/B比を低く抑える事に成功した。これによって、高感度かつ大きなダイナミックレンジを有する小型の無線蛍光デバイスの開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症の影響もあり、R2年度にR3年度の実施予定の蛍光測定デバイスの開発を前倒しで実施してきたが、R3年度はR2年度に実施予定だった色素の検討やゲルへの固定化方法の検討などを実施した。以上の結果、計画とは異なるが、ハイドロゲルインスリンセンサーの基本組成を決定できており、進捗状況としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光色素の選定、ハイドロゲルへの固定化方法の検討も完了し、ハイドロゲルインスリンセンサーの基本組成が決定した。また、測定デバイスにおいても高感度かつ、ダイナミックレンジの大きい蛍光測定デバイスの開発に成功している。以上により、本研究に必要な連続インスリン計測システム に必要な要素を揃えることができたと考える。次年度は本研究課題の最終年度になるため、連続インスリン計測システムの特性評価を実施し、有用性を示していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
R3年度は、少量の色素で幅広くハイドロゲルセンサを検討しており、蛍光色素の大量合成や蛍光測定デバイスの外注による調達などを実施していないため、次年度使用額が生じた。最終年度は検証実験のため、蛍光色素の大量合成やデバイスの外注などを実施する予定である。
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