研究実績の概要 |
マウス骨芽MC3T3-E1細胞において,1日1回20分間のLIPUSの細胞への照射は,対照群に比べて有意に細胞分化を促進した.一方,ベータアクチンのノックダウン細胞では,LIPUSの分化誘導促進作用が減弱した.また,このLIPUSの促進作用は,その熱的な作用ではなく,メカニカル的な作用によると推察された. 網羅的な遺伝子発現解析の結果,MC3T3-E1骨芽細胞の分化の過程でオステオカルシン(Bglap) やボーンシアロプロテイン (Ibsp) の遺伝子発現が顕著に上昇することが示された.また,Bglapは,miRNAであるmiR-22-3p, miR-30b-3pやmiR-1299等で,IbspはmiR-129b-3p, miR-130b-5pやmiR144-3p等で発現が制御されている可能性があることがデータベース解析より示された.MC3T3-E1骨芽細胞の分化の過程で細胞外に分泌されるエクソソームを分離したが,培地中に含まれる10%ウシ胎児血清が影響し,細胞分化に関与するエクソソームやそれに含まれるmiRNAの同定には至らなかった. 金魚のウロコは,LIPUSを含むメカニカルストレスに応答することが知られている.金魚のウロコに対する遠心機を用いた過重力 (3G, 24 h) は,破骨細胞の活性 (Rankl/Opg比) を有意に抑制したが,クリノスタットを用いた疑似微小重力 (24 h) はその活性を有意に上昇させた.
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