研究課題/領域番号 |
20K12629
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
加納 慎一郎 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00282103)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | BCI / 聴空間 / 音像定位 / 音脈分凝 / 事象関連電位 / VR |
研究実績の概要 |
ユーザの両耳に提示した音刺激を用いて,聴覚VR(仮想現実感)手法によりユーザに空間的な広がり(聴空間)を知覚させ,生じた脳波からユーザの意図を検出するBCI「聴空間BCI」を開発するために,2020年度に引き続き,以下の研究を行った. (1)聴空間のVR知覚を可能とする刺激提示方法の検討:ユーザの両耳に聴覚刺激を提示することで,聴空間上に定位する音像をユーザに仮想知覚させるための刺激提示法の検討を行った.頭部伝達関数(HRTF)を用いた音像の頭外定位を行うことで,これまでの研究において問題となっていた音像定位の性能の低さを改善することができた. (2)仮想定位された音の検出能力の検討:仮想定位された音を聴空間内で移動させ,それに対して選択的注意を行うことを被験者に求め,事象関連電位の計測実験を実施した.その結果,仮想定位された音の属性(周波数,強度)の変化や,聴空間内を移動する音の移動方向の変化に伴い誘導される事象関連電位を計測することができた.今後は,機械学習による事象間電位のリアルタイム検出を行う予定である. (3)多チャンネルスピーカアレイを用いた音像提示と事象関連電位計測実験の実施:多チャンネルスピーカアレイを用いて音像定位を行うシステムを開発した.また,このシステムを用いた事象関連電位計測実験を実施した.隣接するスピーカの間に音像を定位させ,その音の属性変化に伴う事象関連電位を計測することができた.これにより,開発したシステムによって,空間分解能に優れる音像定位を行うことが可能であることが示された. (4)音脈分凝を用いた聴覚BCIの性能向上:分凝知覚される複数の音脈に対して選択的注意を向けることで生じる事象関連電位を信号源として,注意対象となる音脈を検出するためのシステムの開発を行った.聴覚VR刺激を用いたBCIの性能と検出精度の向上のための重要な知見となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のために,ヒトに対する実験実施が制限されたため.本研究進捗が想定よりも遅れている.ただし,方法論についての検討はおおむね順調に進んでいるため,最終年度で想定通りの内容の研究を実施できる見込みである.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画を大きく変更する必要はないため,計画通り研究を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
備品調達状況が不調のため,2022年度に執行予定である.
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