| 研究課題/領域番号 |
20K12633
|
|---|
| 研究機関 | 同志社大学 |
|---|
研究代表者 |
増田 明 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (30612121)
|
|---|
| 研究分担者 |
春田 牧人 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (40733663)
高橋 晋 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (20510960)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| キーワード | 人工視覚 / 視覚野 / 光遺伝学 / 神経活動イメージング / 行動評価 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本年度は人工視覚実験系部分の改良を行い、脳固定下行動実験系の新規確立準備を行った。
1．光刺激系の改良：作成が容易な3×3の赤色LEDアレイを作製した。奈良先端科学技術大の春田牧人助教との連携により、回路基盤を実装し、作製したLEDアレイから発する光をレンズを介して集光することで予定していた放射照度(1.0 mW/cm^2)が実現されることを確認した。現在、更に高解像度が可能となるLEDアレイを作製中である。
2．イメージング系の改良：オープンソース化されているUCLA Miniscopeを活用し、顕微鏡基体内部に新たに高波長光を反射させるダイクロイックミラーを取り付けることで、赤色LEDアレイから発せられる高波長光を観察部へ微細光として照射させる光学系を確立した。今後、実際にイメージングを行い、刺激下での脳活動を観察する予定である。
3．実験動物への遺伝子導入法の検討：ラットの一次視覚野にウイルスベクター投与を行い、生体透過性の高い高波長光で興奮を誘導するタンパク質である ChrimsonRを興奮性細胞に 、または抑制を誘導するタンパク質 eNpHR3.0さらなる高感受性抑制誘導性タンパク質 Jaws を抑制性細胞種特異的に発現させたことを共焦点レーザー顕微鏡で観察確認を行った。
4．覚醒下人工視覚弁別課題：Licking選択行動に基づく、頭部固定条件下での飲水オペラントタスクを導入した。Lickingセンサーを搭載した左右2本のノズルを動物の眼前に配意し、片方のノズルにLickingすると高報酬、もう片方のノズルにすると低報酬というオペラントタスクを用意し、プレテストを行った。今後新たに開発した光刺激装置を組み合わせ、特定の光刺激と左右のノズルに対するLicking行動を連合させた学習が可能かどうかを調べることで、人工視覚能を評価することを試みる予定である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画した通りに研究は進んでいる。令和2年度は新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、実験機器の一部で入手に遅延が生じたほか、分担研究者との打ち合わせや学会報告がオンラインになるなど多少影響が生じたが、研究環境はおおむね障害を受けず、当該年度の研究進展に大きな問題は生じなかった。
|
| 今後の研究の推進方策 |
令和2年度の研究成果を基にして覚醒下における光刺激ー脳活動イメージングの実験系を確立させる。実験動物の準備は半分ほど完了しており、①光刺激を用いた行動実験を行うことと、②脳活動イメージングを行うことを同時に実施する詳細な条件検討を前期に行う。後期に神経メカニズム解明のための大規模データ取得を行う。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
参加見込みであった国際会議2件がともにオンライン開催になったため、計上していた旅費を使用しなかった。
次年度も会議の開催はオンラインであることが見込まれるため、旅費には計上せず、イメージングデータ取得のための計算機購入に充てる。
|
