研究課題
本年度は、ラット頭部固定下におけるデュアルリッキングシステムによる人工視覚分離課題の行動実験のデータ解析を行った。この人工視覚分離課題では、一次視覚野へ光刺激を与えたときの刺激性質の違いを動物へ学習させ、その際、ラットの左右脳半球それぞれの視覚野領域に対し、アデノ随伴ウイルスベクターを介して神経細胞を活性化させる光駆動タンパク質であるChRmineあるいは抑制化させる光駆動タンパク質であるJawsを発現させ、620nmのレーザー光にて頭頂付近から左右どちらかの一次視覚野へ照射した。刺激に応じて1本のリッキングバーへラットがリッキングを行った報酬として水を与えるように行動学習課題を設定した。左右視覚野への刺激の分離およびその逆転に対し、正答率はトライアル実施数増加によって上昇したことから、一定の分離学習が成立した。研究代表者の異動により、当該行動実験の追加実施は行わず、脳活動イメージングデバイスの作出に注力した。脳活動イメージングのための多点電気生理測定機能を持つ小型イメージングデバイスを作成した。この小型デバイスは、CMOSイメージンセンサー、ファイバーオプティックプレート、青色LED、および光学フィルターからなる。高カリウム誘導性の神経興奮モデルにおいて電気的な神経興奮およびカルシウムイオン蛍光プローブの蛍光増加を検出し、作成したデバイスが電気生理学的信号と神経活動イメージング信号の両方を検出する機能を持っていることを確認した。以上のことから、視覚野に対する光遺伝学による人工視覚研究の検証に必要と考えた一連の光刺激、行動評価、神経活動イメージングという3構成要素の開発を完了した。
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Sensors and Materials
巻: 34 ページ: 1587-1599
10.18494/SAM3758