研究課題/領域番号 |
20K12649
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
黒崎 友亮 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (00582016)
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研究分担者 |
佐々木 均 長崎大学, 熱帯医学研究所, 特命教授 (00170689)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 核酸医薬品 / ドラッグデリバリーシステム |
研究実績の概要 |
昨年度の検討で、siRNAを内包した安定な肝指向型三元複合体を調製した。ルシフェラーゼに対するsiRNAを搭載した肝指向型三元複合体をルシフェラーゼ恒常発現細胞に添加し、ルシフェラーゼの発現抑制効果を評価した。この結果、polyethylenimine(PEI)やpoly-L-lysine(PLL)、poly-L-arginine(PLA)、dendrigraft-poly-L-lysine(DGL)などのカチオン性高分子を用いた肝指向型三元複合体ではルシフェラーゼの発現抑制効果は認められなかった。一方で、1,2-dioleoyl-3-trimethylammonium-propane(DOTAP)を用いた肝指向型三元複合体では若干のルシフェラーゼ発現抑制効果が認められた。そこで、DOTAPを用いた肝指向型三元複合体にさらに、膜融合脂質やコレステロールを追加し、ルシフェラーゼの発現抑制効果を評価したところ、膜融合脂質を加えた場合に抑制効果が大きく向上することを見いだした。また、数種の肝線維症モデルマウスの構築法を検討し、四塩化炭素で肝線維症モデルマウスを安定に構築することに成功した。 四塩化炭素による肝線維症モデルマウスの構築実験に長い待ち時間がかかった事から、肺指向型製剤を用いた肺線維症の治療実験も追加して実施した。我々はこれまでに、肺で高い遺伝子発現効果を示す肺指向型複合体を開発した(Journal of Controlled Release, 136, 213-219, 2009)。そこで、この肺指向型複合体の成分を最適化し、TGF-β shRNAを発現するpDNAを搭載した肺指向型製剤をブレオマイシン誘発肺線維症モデルに投与したところ、肺の繊維化を有意に抑制することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い、研究活動が一部制限された。このため、昨年度の研究計画の遅れを取り戻せず、当初の研究計画からはやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
実験動物に肝指向型三元複合体を投与し、体内動態や毒性、肝臓における取り込み効率を評価する。また、四塩化炭素を用いて構築した肝線維症モデルマウスにTGF-β siRNAを搭載した肝指向型三元複合体を投与し、その抗線維化効果を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の初年度に新型コロナウイルス感染症が蔓延し、試薬や細胞の発送停止や研究業務の停止が余儀なくされ、研究開発が遅れ、翌年度使用額が生じた。本年度も新型コロナウイルス感染症が再拡大し、昨年度の遅れまでは取り戻せなかった。しかしながら、昨年度と比較すると順調に研究計画を遂行できており、実験を進めている。 次年度使用額については元々の研究計画に従い、遅れている実験の消耗品の購入費用に充てる予定である。
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