今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き、酵素的な手法により合成を行う。グルコースを結合した配糖体プロドラッグの調製と同様の合成法により、ガラクトースやキシロースが結合した配糖体プロドラッグを調製する。ガラクトースが結合した配糖体プロドラッグの合成については、化学試薬を用いる合成についても検討する。原料である1-フェニルエタノールと合成試薬であるアセチル化したグリコピラノシルブロミドとして2,3,4,6-テトラアセチルグリコピラノシルブロミド、および、モレキュラーシーブを、炭酸銀の存在下で混合し、ジエチルエーテルに溶解させる。試料が入った容器をアスピレーションを行い減圧したのち窒素置換を行う。容器を遮光し、攪拌反応を行う。反応液をろ過したのち、酢酸エチルを用いて洗浄を行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合する。炭酸水素ナトリウムを取り除き、上層部を、飽和食塩水による塩析を行う。エバポレーションを行い、酢酸エチルを留去後、混合物をメタノールに溶解する。炭酸カリウムを加え、アスピレーションにより容器内を減圧して窒素置換する。遮光下、撹拌反応を行う。エバポレーションを行いメタノールを留去し、酢酸エチルを加え混合する。上層部の飽和食塩水による塩析を行う。以上の操作により、1-フェニルエタノールの配糖体プロドラッグを合成する。アセチル化したグリコピラノシルブロミドについては、2,3,4,6-テトラアセチルガラクトピラノシルブロミド、および、2,3,4-トリアセチルキシロピラノシルブロミドを使用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は配糖体プロドラッグの合成原料として医薬品デノパミンアナログ化合物の現有の化合物であるフェニルエタノールと、現有の酵素を生体触媒として使用したため、次年度使用額が生じた。次年度以降の使用計画として、配糖体プロドラッグの調製の際に、ガラクトースを結合させた配糖体プロドラッグを合成するために必要な試薬である2,3,4,6-テトラアセチルガラクピラノシルブロミドの購入を行う。さらに、キシロースを結合させた配糖体プロドラッグを合成するために必要な試薬である2,3,4-トリアセチルキシロピラノシルブロミドの購入を行う。配糖体プロドラッグの合成原料としては、薬理作用の高いスチルベン化合物としてプテロスチルベン、および、その類縁体、クルクミノイド化合物としてクルクミンの購入を行う。さらに配糖体プロドラッグの合成原料として、高い薬理機能をもつアルカロイド化合物の購入を行う。合成した配糖体プロドラッグの薬理作用を調べるために必要なプレートリーダーを備品として購入することを検討している。また、配糖体プロドラッグの薬理活性を調べる際に必要となる培養細胞の購入を検討している。
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