エクソソーム内に特定の核酸プラスミドを特異的に封入することができた。 エクソソームに局在するタンパク質BASP1のN末端の10アミノ酸をCRISPR-dCas12jのN末端に付加したところ、エクソソームに局在させることができた。次に、標的プラスミドを認識するguide RNAを同時に発現させたところ、標的プラスミドがエクソソームに封入できた。guide RNAを発現させないときにはほとんど標的プラスミドの封入は見られなかった。特異的に封入されていると考えた。しかし、標的とは異なるguide RNAを発現させた場合でも、弱く封入が見られた。これはdCas12jの特異性の低さに起因していると考えた。 エクソソームの亜鉛沈殿による回収 エクソソームの回収方法として、最も用いられている方法は超遠心法である。しかしながら、この方法は回収率が10%程度と非常に低いことが知られている。本研究で、塩化亜鉛添加することによって、エクソソームが沈澱することを見出し、詳細を検討した。亜鉛イオン濃度は8 mMが最適であることがわかった。亜鉛イオンを添加してから、インキュベートは必要なく、すぐに15000 xgの遠心を20分するだけで40%以上の回収率で回収することができた。超遠心法、あるいはぽリエチレングリコール沈殿法などと比べても簡便迅速でありながら、高い回収率であることを見出した。エクソソーム以外の培地成分、特にタンパク質の混入の度合いを現在検討している。これらの詳細をさらに検討し、特許出願を行う予定である。
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