慢性肝疾患の定量診断を目的に,肝組織の病変進行による超音波散乱特性変化とせん断波の伝搬特性変化を解析し,初期病変から安定に定量化診断できる手法について検討を行った。散乱波を用いる診断では,複数のレイリー分布を組み合わせて散乱波の振幅確率密度関数をモデル化し,病変変化に感度の高い分布関数の非整数次モーメントを用いることで,初期病変の検出精度を高めることが可能になった。せん断波を用いた定量診断では,生体組織中を伝搬するせん断波の伝搬速度・減衰の周波数特性を,せん断波の複素波数を用いて解析し,生体組織の病変変化に伴う粘弾性特性を求めると,初期病変を精度良く求めることができることが明らかとなった。
|