研究課題/領域番号 |
20K12666
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮城 英毅 名古屋大学, 医学部附属病院, 研究員 (10745318)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 血管機能 / 動脈硬化 / 血管拡張 / 血管内皮機能 / FMD検査 |
研究実績の概要 |
昨年度は、独自アルゴリズムを用いた血管機能となる血圧計測および血管トーンを同時計測する試作機を開発した。本年度は試作機を用いて計測精度検証および装置の改修作業を行った。 検証は、装置の基盤となる血圧値を聴診法による計測値と比較を行った。被験者は、健常者の15名(男9,女6)を対象に行った。平均年齢は36±11歳(rage 22-55)、平均体重は62±13kg(44-86)、平均上腕囲26.0±3.1cm(22.6-30.5)であった。結果、試作機にてすべての被験者において血圧計測が行えた。平均収縮血圧、平均拡張期血圧は試作機および聴診法でそれぞれ 122±21 vs 116±14 (試作機 vs 聴診法,単位 mmHg)、73±23 vs 69±10 であった。脈拍は、71±11 vs 71±8 (拍/分)であった。検証結果からは血圧において相関傾向が見られたが、聴診法の計測値と最大37mmHgの差圧が認められた。脈拍においても最大32(拍/分)のばらつきが認められた。要因は、聴診法において臨床同様に計測時間短縮のため降圧スピードが速く計測誤差に繋がっていた。装置要因では、試作機が自動血圧計同様にカフの自動巻き上げ式であったため被験者の腕の挿入の角度や30cm以上の上腕囲の太さによって適正な締め付けが行えず、誤差要因になっていることが確認できた。そのため、装置を自動巻き上げ式から計測者によって巻くタイプの変更改良を進めた。 下期は、新型コロナウィルス感染対策の観点から課題となった関係者等と接触を減らすために遠隔から装置の実施状況の確認を行える外部通信機能の開発を行った。通信装置はRaspberryPi4を用いて実装を行い、遠隔地から試作機のデータ転送やデータ共有が行えることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は目標としていた試作機の上腕血圧の精度検証と試作機の課題洗い出しを行うことができた。また、血管機能の一つである血流依性の血管拡張能について数名の健常者において予備検証を行い血流依存の血管拡張を確認することができた。しかし、新型コロナウィルスの感染防止の観点から被験者および協力者との(予備実験等の)対面協議や被験者確保に制限が行われたため、予定していた被験者数を確保することができず課題を残した。予定していた血管機能低下が疑われる高齢者等の確保が難しく、次年度の継続課題項目とした。一方、研究課程において発生した試作機の遠隔操作における研究課題は、下期に追加開発として試作装置へ実装を行い予備検証まで完了できた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、昨年度同様に試作した装置を用いて性能検証および機能検証を行い、独自アルゴリズムの計測技術をの確立を目指す。上期は、令和3年度からひき続き幅広い年齢層の被験者を確保して精度検証を進める。また、数名の被験者を対象に計測値の再現性について検証を行い、信頼性について検証する。さらに、追加機能実装した外部通信機能についても実運用の検証を行い通信プロトコルを確定する。下期は、昨年度に課題となった高齢者および血圧が高めの被験者の計測を重点的に行い精度検証を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、新型コロナウィルス感染の流行により緊急事態宣言等を受けて研究対象者の地域への移動が制限されため、十分な検証が行えなかったため旅費、謝金の支出が減額した。同様に計画されていた学会の現地参加を断念したため旅費にかかる支出が抑えられた。 次年度は、引き続き被験者を対象とした検証の継続および検証結果をフィードバックした計測システムの改良にかかる費用に必要な消耗品等を計上した。国内外の学会参加や協力病院への施設訪問は従来の計画通りの訪問回数とした。
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