研究実績の概要 |
これまで2年間の研究期間中に解析対象としている再生不良性貧血(AA)2例、小児不応性血球減少症(RCC)2例、芽球増殖を伴う不応性貧血(RAEB)4例の検体を収集した。うちRAEB1例のについては、SAMD9遺伝子の生殖細胞系列変異が見いだされ、論文発表した(Yuki Kawashima-Sonoyama, Keisuke Okuno, Tomotsune Dohmoto, et al. Human Genome Variation, 2021)。しかしながら、新規症例の来院がなく、検体数を大きく増やしての解析は困難であると考えている。そのほかの症例についても、鋭意解析を進めようとしているが、院内の次世代シーケンサーのトラブルによる使用不可という状況であり、院内での解析ができない状態が続いている。このため、外注によるシーケンスを予定している。研究コストの上昇が予想されるが、症例数を当初の予定よりも減らして、予算内で解析を行うことにする。 臨床データとしては、上記症例中のAAとRCCのは全員造血幹細胞移植を行って生存している一方で、RAEBのうち2例は造血幹細胞移植後に死亡している(1例は再発、1例は移植後合併症による)。RAEBでは遺伝子変異の種類が他の2疾患と比べて多いか否かを慎重に検討したい。現段階では、AA、RCC、RAEBの3疾患の症例の間に特徴的な染色体異常は見いだされていない。 また、残念なことに、新型コロナウイルス感染症の流行に歯止めがかからず、医師として、その診療のためにエフォートを割かなければならない状態が続いており、研究の遅延につながっている。
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