研究課題
基盤研究(C)
磁気共鳴画像(MRI)装置用の高温超伝導コイルを構築する上で、空間的に不均一で時間的に減衰する「遮蔽電流磁場」が解決すべき課題の1つとなっている。これまでに、遮蔽電流磁場を消磁する手法を独自に提案し、小型コイル単体に対して原理実証している。そこで、複数個のコイル群で構成されるMRI装置用高温超伝導コイルについても、提案する遮蔽電流磁場消磁法が適用可能なことを実証するために、消磁コイルの代表的な2つの配置法に関する実験と遮蔽電流磁場の消磁効果に与えるコイル間相互作用の数値解析を実施した。
超伝導工学
実験と数値解析の結果、消磁コイルが作る外部磁場により高温超伝導コイルに誘起される遮蔽電流磁場の大きさは非常に小さく、提案する遮蔽電流磁場消磁法が複数個のコイル群で構成されるMRI装置用高温超伝導コイルに対しても適用可能なことを明らかとした。現在国内外の病院に幅広く導入されているMRI装置では低温超伝導コイルを液体ヘリウムで冷却しているが、高温超伝導化により希少で高価なヘリウムを使用しないMRI装置の実現に一歩近づいた。