研究課題/領域番号 |
20K12689
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石川 卓哉 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (00792649)
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研究分担者 |
大野 栄三郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (00447822)
川嶋 啓揮 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (20378045)
藤城 光弘 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (70396745)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膵癌 / 人工知能 / 超音波内視鏡 / 超音波用造影剤 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
膵癌の予後改善のためには早期発見と適切な診断が必須である。画像診断技術の進歩により、膵臓に小腫瘤性病変が発見されるようになってきた。これらには癌の他に低悪性度腫瘍や良性疾患も含まれるが、良悪性診断は容易ではない。研究代表者らはこれまでに膵腫瘤の診断における、EUSに超音波用造影剤を組み合わせた造影EUSの有用性について報告してきた。しかし、EUSは主観性が高く、術者の技量や経験によるところも大きい。一方、消化器内視鏡画像を用いた人工知能(AI)による診断の有用性が報告され、医師の診断を補助する新たなツールとして期待されている。そこで本研究では、EUSで得られた画像をAIに機械学習させることで術者の技量や経験の差を軽減し、膵腫瘤診断における新たな診断体系の確立を目的とした。 令和二年度は当院で膵腫瘤病変に対して行った造影EUSの画像データを抽出し、機械学習による解析を行うことを目標とした。AI診断の精度は元となる画像データが多ければ多いほど正確なものに近づくが、当施設で膵腫瘤性病変に対して行われる造影EUSが年間約50件あり、このうちAI解析に耐えうるだけの画像データが揃えられる症例数数を考慮し 、まずは膵癌、非膵癌症例それぞれ50例ずつの集積を目指した。その結果、現在までに膵癌58例、非膵癌61例の合計119例の画像データを集積した。 得られた画像については研究協力者である名城大学電気電子工学科の力を借りて機械学習による解析を行っている。機械学習には、Attentionを使用したV-Netという手法を用いて学習・検証・テストを行った。まだ解析の途中段階であるが、3回の交差検証による膵癌・非膵癌の自動診断の感度、特異度、正診率の平均はそれぞれ83.3%、88.9%、86%であった。今後Attentionで重要視する領域を再分析、改善させることで、さらなる診断能向上が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例数としては当初の目標であった膵癌、非膵癌合計100例に対し、合計119例の症例を集積できた。 機械学習による解析についても名城大学電気電子工学科の協力のもと、解析をすすめており、概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在解析を行っているAIを用いた造影EUSによる膵腫瘤性病変に対する良悪性診断能の検討については、今後解析結果を令和3年4月の日本消化器病学会総会で発表予定であり、その後に論文化を目指す。 また今後の計画として、造影EUS以外の膵疾患に対して行ったEUSを用いた検査について、AIの活用を検討している。現在、膵腫瘤性病変に対してEUSガイド下に穿刺生検(EUS-FNA)を行った検体について実体顕微鏡で撮影した画像を集積中である。EUS-FNA検体の組織学的診断可否に対する、Deep learningを用いたAIによる自動診断能についても今後解析予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は新型コロナウイルスの影響により多くの学会や研究会が中止、またはWeb開催となったため、国内および国外の旅費を使用する機会がなく、当初の計画よりも使用経費が少なかった。次年度は一部の学会等は現地開催の予定があり、積極的に参加し、旅費として経費を使用させていただく予定である。また次年度は研究結果の論文化を試みる予定で、英文校閲料、研究成果投稿料としても経費を使用予定である。
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