研究実績の概要 |
本研究の目的は、全ての操作を完全遠隔化し且つ1人の内視鏡医で操作可能なマスタスレーブ型ロボットの開発により早期消化管癌をはじめとする内視鏡治療を容易化・短時間化・平準化することである。プロトタイプとしてETRS (Endoscopic therapeutic robot system)1号機を開発した。この1号機は、1)臨床使用可能なサイズとすべく、経口的に挿入するオーバーチューブ(直径2cm以内)に挿入可能な構成とし、2)全ての操作(把持鉗子・ナイフ鉗子・注射穿刺鉗子)がコンピュータ制御により1人の内視鏡医のみで直感的に遠隔操作(把持・ナイフ鉗子のマスタ装置には、2台の“Geomagic Touch” (3D Systems inc,USA) を使用)できることを目的として完成し。しかし、臨床応用可能な最終型までの課題として、1)ナイフ鉗子の操作角度が足りなくなること、2) 内視鏡のアングル操作を鋭角にすると把持鉗子・ナイフ鉗子の操作性が低下することがまず解決すべき課題で考え、これを解決したETRS2号機の開発が本研究期間での目的とした。 当初の問題点を解決したETRS2号機は完成した。非医師により簡易ゲームにより操作法習得後、ESDのビデオの鑑賞と当方が作成した手技の簡易マニュアルを熟読し、医師不在のもとでETRS2号機により市販の胃粘膜モデルの仮想胃癌病変に対して早期消化管癌の内視鏡治療である内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を実現し、手技のロボット操作化が臨床経験の最小化を可能にすることを示唆した。
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