研究課題/領域番号 |
20K12705
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
稲玉 直子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 主幹研究員(任非) (10415408)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | PET検出器 / 放射線検出器 / 検出位置分解能 / DOI検出器 |
研究実績の概要 |
所属の研究チームで以前開発したPET用4層Depth of interaction (DOI)検出器は、検出器内部での放射線の検出位置を4層分の深さ情報を含めた3次元で詳しく得られる検出器であり、多層構造により高感度を実現する。ただし、ほとんどの検出器で問題となる検出器周縁部の分解能の劣化が本検出器でも生じていた。その改善を目的とした本研究において、今年度は、PET検出器によく用いられる感度の高いLGSOシンチレータを用いた本実験を行う前に、試験的に行った事前実験で得た分解能改善手法の効果を示す結果を用いて特許の申請を行った。事前実験ではLGSOより感度が低く若干サイズの合わない持ち合わせのGAGGシンチレータを使用していた。特許申請の際に、あらたな実験として、4層DOI検出器のために考案された改善手法の広い適応可能範囲を証明するため、DOIではない1層の一般的な検出器に手法を用いた実験を行い分解能改善の効果を示した。これらの実験結果を用いて特許の申請書類を作成し、出願を終えた。 本実験のためのLGSOシンチレータの購入も済ませた。実験では検出器の端の分解能を評価するため、検出器を構成するシンチレータ部の外周が受光素子(MPPCアレイ)と同サイズでなければならない。LGSOの仕上げに用いる化学研磨は価格を低く抑える代わりにサイズの公差が一般的な仕上げ方である機械研磨に比べて大きいため、購入の際には決まった外周にシンチレータ部を構成するために必要な考察や交渉を行った。結果、LGSOのサイズを1.45 mmから1.53 mmに変更した。 また、PET検出器開発の研究者が集まる国際学会である IEEE NSS-MIC 学会にオンラインで参加し、検出器開発の現在の動向を調査した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請当時考えていなかった特許の出願を行ったため。ただし、特許出願を考えたことをきっかけに、DOIではない一般的な検出器への手法の適用実験を行い、分解能改善のあらたな成果を得ることになった。
|
今後の研究の推進方策 |
国内出願した特許について、外国での出願を試みる。 納入された1.53mm×1.53mm×4.5mm のLGSOシンチレータで16×16配列4層のDOIシンチレータ部を作成し、手法の最適化を試みる。その際、量産の可能性も考慮し、性能と作りやすさのバランスがとれた構造を目指す。
|