研究課題/領域番号 |
20K12706
|
研究機関 | 富山県産業技術研究開発センター |
研究代表者 |
高田 耕児 富山県産業技術研究開発センター, その他部局等, 主任研究員 (40530621)
|
研究分担者 |
安田 佳織 富山県立大学, 工学部, 准教授 (70707231)
菊地 央 北海道大学, 大学病院, 助教 (20828305)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 循環腫瘍細胞 / マイクロ流路チップ / セルクラスター |
研究実績の概要 |
リキッドバイオプシーの検体から循環腫瘍細胞、セルクラスター、セルフリー核酸を分離してそれぞれ調べることができれば、解析技術の進歩を多面的・重層的に利用できるようになると考えられる。そのために必要となるのがシンプルな分離法である。本研究では、循環腫瘍細胞だけではなく、セルクラスター、セルフリー核酸を分離するためのシンプルな分離法を開発することを目的とする。令和4年度までの研究で、サイズ分離の閾値の異なるチップ、カートリッジ、デバイスを開発し、カートリッジ交換で様々な閾値を検討できるようにした。令和5年度は、まず、閾値が30μmのチップを用いて細胞塊と単一細胞との分離を検討した。腎がん由来の培養細胞の培養液またはそれを血液に混ぜたサンプルで分離実験を行ったところ、小さい粒子(細胞)と大きい粒子(細胞塊)とに分離することができた。一方、浮遊培養により作成した100μm以上のサイズの細胞塊を含む培養液を血液に混ぜて分離すると、細胞塊の分離は可能であるが回収率が低かった。閾値30μmのチップは柱間隔が90μmであるため、100μm以上の細胞塊がチップに捕捉されたものと考えられる。これらのことから開発したチップでは柱間隔90μmより小さいサイズの細胞塊を分離できる可能性が示された。次に、閾値が2.3μmのチップで赤血球と血漿の分離を検討した。ラットから採取した血液を分離したところ、赤血球は大きい粒子として分離されなかった。これは、赤血球(直径約8μm、厚み約2μm)が開発したチップの中では2.3μmより小さい粒子(厚み程度の大きさの粒子)としてふるまうことを示しており、この性質を利用した分離方法の可能性を示した。さらに閾値が20μmのチップでは、細胞が融合等により大きくなる実験系を使ってサイズ分離を行い、この分離法の新しい応用方法についての可能性を示した。
|